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世界最大の政治経済イベントともいえる米国大統領選挙の投票日まで、本日を含め、あと100日となりました。投票日は、11月の第1月曜日の翌日の火曜日、と法律で決まっており、今年の投票日は11月5日です。前大統領トランプ氏の返り咲きがあるかもしれません。トランプ氏は米国の敵を明確化し、国民的不満に真っ向から答えるというスタンスをとっています。その敵とは、米国の製造業の雇用を奪ったグローバリゼーションと中国、過度の弱者配慮といったもので、これらは必ずしも合理性があるとはいえませんが、選挙のスローガンとしては、国民心情に刺さるものになっているのかもしれません。
かつての共和党対民主党は、富裕層対労働者、白人対有色人種、保守対リベラルなど、はっきりした党派対立軸がありましたが、いまはそれがほとんど失われ、混沌の状態となっています。トランプ氏の主張の多くも、伝統的共和党の価値観とはかけ離れたものであるといえるでしょう。
さて、話題性としては米国大統領選挙には及ばないかもしれませんが、投票日と同日の11月5日から、東京証券取引所の株式取引時間が30分延長され、午後3時30分までとなります。2020年秋のシステム障害を契機に70年ぶりの変更となりますが、欧米に比べて取引時間はまだ短く、米国では24時間取引の検討がすすんでおり、世界を視野に不断の議論が不可欠です。
今回、幅広い投資家の取引機会を広げるために時間延長を訴えてきた東京証券取引所や金融庁にとっての長年の悲願が実現します。2000年、2010年、2014年に検討した際は、業務内容の見直しが迫られる対面取引の証券会社や資産運用会社の反対もあり、立ち消えになりました。時間延長の出発点となったのは、2020年10月1日の大規模システム障害です。全銘柄の売買が終日止まる事態となってしまいました。市場参加者の共通の利益として、取り引きの終日停止を避けるための時間延長論が再浮上しています。
延長自体を拒む意見もあったものの、30分の後ろ倒しが妥協点となりました。取引終了時刻が延びるのは1954年に午後2時から現在の午後3時に変更して以来70年ぶりです。東京証券取引所の株式売買システム「アローヘッド」の更改に合わせて実施します。変更にあたり、とりわけ懸念が強かったのが、投資信託の基準価格の算出に関わる業務負担の増加です。資産運用会社は投資信託に組み入れた個別銘柄の終値が確定してから基準価格を算出しなければなりません。計算には一定の時間がかかるうえ、販売会社で当日受け付けた売買に基づく送金や、報道機関などへの基準価格の伝達には締め切り時間もあります。東京証券取引所は投資信託協会を通じ、各資産運用会社にFAXの廃止やシステムによる自動処理の促進といった業務の改善を要請してきました。基準価格算出に使う時価データの配信時間も前倒しできないか、システム会社などと調整をすすめています。
東京証券取引所は、「現時点で関係各社は予定通りに対応をすすめており、目立った支障は出ていないときいている。」と説明していますが、例えば、現在でも上場会社の適時開示や決算会見は取り引きが終了した午後3時以降に集中する傾向があり、取引時間中への移行を浸透させられなければ、集中が一段とすすんでしまって投資家の開示情報の確認がかえって不便になる可能性もあるでしょう。上場会社である弊社にも直接かかわる内容ですので、動向には十分に注意を払って参ります。