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「腐ったリンゴはいくつかあるが、米国大企業の95%は健全で、資産や負債の内容も適切である。」
2002年6月、当時のブッシュ大統領は、今からちょうど23年前(2001年12月2日)に連邦倒産法第11章(チャプター・イレブン)の適用を申請したエネルギー商社エンロンの経営破綻(主な要因は粉飾決算)を受け、遊説先のフロリダでこのように述べました。社会の混乱を抑えようとするものでしたが、エンロンの会計監査を担当した監査法人アーサー・アンダーセンも粉飾決算への関与で解散に追い込まれ、また、このブッシュ大統領の発言の翌月に通信事業者のワールドコムも粉飾決算で破綻するなど、米国のみならず、世界中に大きな影響を及ぼしています。
エンロンからはじまる、その後の大手企業の粉飾決算などによる不祥事に危機感を覚えた米国政府は、上場企業経営の透明化を目的としてコーポレートガバナンスの改革をおこない、投資家を保護するための新しい法案であるSOX法(米国の上院議員ポール・サーベンスと下院議員マイケル・G・オクスリーの名前をとったサーベンス・オクスリー法)を制定しました。日本でも2008年4月から、日本版のSOX法であるJ-SOX法が適用されており、3つの取引所(東京・福岡・名古屋)に株式上場している弊社も、当然ながら適用対象となっています。
さて、次はエンロンも取り扱っていたエネルギーに関するお話です。日本ではエネルギー供給の多くを海外から輸入する石油、石炭、天然ガスといった化石燃料に、また、省エネルギー機器や再生可能エネルギー発電機器に必要不可欠な原材料である鉱物資源についても、その供給のほとんどを海外に頼っています。このような脆弱性を抱えるなか、資源確保を 取り巻く環境は大きく変化しました。ロシアのウクライナ侵略、中東情勢の緊迫化、世界的な脱炭素化の潮流など、日本として、エネルギー安定供給に向けた継続的な取り組みが不可欠となっています。また、世界のエネルギー需要は今後も拡大することが見込まれており、中国やインドのアジア諸国が需要の中心となっていくことが予想されている一方、中長期的には、世界のエネルギー需要における日本の割合は減少していき、国際エネルギー市場における日本の地位は相対的に低下する見通しです。更に、日本では2030年度に温室効果ガスを2013年度から46%削減し、2050年までにカーボンニュートラルを実現するといった意欲的な国際公約を掲げ、脱炭素化に向けた動きも加速しています。
このように大きく変動する国際情勢のなかで、日本が今後も将来にわたって資源の安定供給を確保していくためには、米国や中東諸国を含む資源供給国との関係をこれまで以上に強化・深化していかなければなりません。加えて、日本同様、輸入への依存度が高まるアジアを中心とする需要国との連携を強め、安定的な国際市場を構築していくことや、調達先の多角化をすすめていくことが必要です。脱炭素化に向けた蓄電池や再生可能エネルギー発電機器の需要増加により、世界的に鉱物資源の需要も増加すると見込まれ、獲得競争は激化していくでしょう。
エネルギーは、国民生活や産業活動の基盤をなしています。エネルギーを巡る様々な課題を解決していくためには、国民がこうした課題を自分ごととして捉え、解決に向けて行動していくことが必要です。したがって、エネルギー政策は政府と国民との相互理解の下ですすめていかなければなりません。そのためには、国民、国、地方自治体、民間企業など様々な主体間で、様々な視点や立場から、エネルギーに関する多様な議論が不可欠でしょう。将来、弊社にもそういった場面がおとずれた際には、協力を惜しみません。