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毎年6月3日は世界自転車デー(World Bicycle Day)ですが、皆様はご存じでしたでしょうか。自転車の更なる普及と活用を目的に、世界各国で様々な取り組みがおこわれます。自転車の歴史は1800年代まで遡り、これまで人々の移動手段として、また、スポーツの道具として利用されてきました。そして更に、二酸化炭素が発生しない自転車は、環境負荷の少ない交通手段としてあらためて注目されているところです。
さて、自転車の部品の一部として使用され、また、環境負荷が少ないという点でも少しつながるお話になりますが、製造時の温暖化ガス排出量を大幅に削減する世界のグリーン鉄鋼企業に、投資家や金融機関から資金流入が続いています。コスト面の課題を抱えているとはいうものの、環境対策の進展による需要拡大が予想され、成長期待は高まるばかりです。
世界でいま最も注目を集めているグリーン鉄鋼企業は、スウェーデンのベンチャーであるH2グリーン・スチールでしょう。2020年の創業で、現在、同国北部ボーデンに、世界初といわれる大規模なグリーン製鉄所の建設をすすめています。来年末までに製造を開始する予定で、2030年までに年間500万トンの生産を計画していいます。今年1月には、このプロジェクトに関連する資金として、借入金などで42億ユーロの調達を公表しました。
環境関連事業は先行きの収益見通しに不透明感があることから、リスクを警戒して投資家や金融機関の間で敬遠する動きもあります。そうしたなか、まだ製造をはじめていないH2グリーン・スチールに集まる資金の背景にあるのが自動車メーカーです。昨年6月には、メルセデス・ベンツに年間5万トンを納入することが公表されました。ポルシェも2026年から、スポーツカーに同社のグリーン鉄鋼を使用する予定です。
グリーン鉄鋼は製造過程で再生可能エネルギーを使います。現在、再生可能エネルギーの電力価格は天然ガスや石炭に比べて高いため、通常の鉄鋼よりも価格が高くなっているのが実状です。製品によって価格差は1トン当たり150~300ドルとされています。高層ビルや大型施設のように大量に使う業界では負担が膨らみ、利用を増やしにくい状況です。
しかし、自動車は1台で使う鉄鋼の量を1トンとすると、単純計算で自動車の販売価格は1台当たり150~300ドルの値上げになります。車種にもよりますが、販売への影響は限られるかもしれません。自動車メーカーにとっては、グリーン鉄鋼を使った方が環境に優しい車という宣伝になり、値上げによるマイナスを上回る効果を期待できる面もあります。環境志向を強める消費者は、購入価格の数%程度の値上げなら受け入れる可能性は大きいでしょう。
今年3月、マイクロソフト創業者であるビル・ゲイツ氏が支援するベンチャー企業は、米国コロラド州のグリーン鉄鋼実証プラントを稼働させました。コーヒーよりも低い温度で、温暖化ガス排出量の少ない鉄を製造する技術を目指すそうです。グリーン鉄鋼への取り組みが世界各国ではじまりました。多数のマンションを所有・管理する弊社にとっても関心のあるものであり、動向を注視して参ります。