2023.11.20社員ブログ

バイオ炭・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 明後日は二十四節気の小雪。暦便覧(江戸時代の暦の解説書)では、「冷ゆるが故に雨も雪と也てくだるが故也」と説明されています。これから本格的な冬を迎えますが、地球温暖化の影響もあってか、今年も暖冬のようです。とはいえ、皆様も油断なさらず、体調管理には十分お気をつけ下さい。

 気候変動対策の切り札として、バイオ炭への関心と取り組みが世界的に広がっています。気候変動を止めるためには、これから出す二酸化炭素を実質ゼロまで減らすだけではなく、既に大気中に出てしまった二酸化炭素を回収することが必要で、更に、回収した二酸化炭素が再び大気中に戻っていかないように固定化しなければなりません。この固定化の切り札といわれているのがバイオ炭です。バイオ炭とは、生物資源を材料とした、生物の活性化及び環境の改善に効果のある炭化物のことを指し、近年、国際的に認められるようになってきています。

 狭い土地で大勢の人々を養わざるを得なかったアジア諸国では、古来、稲作を中心とした集約農業に依存し、あらゆるものをリサイクルして肥料とする技術が進歩しました。つい半世紀ほど前までは、し尿や家畜排泄物、落ち葉、青草、ゴミなどの廃棄物も肥料として余すところなく使われていたといえるでしょう。もみ殻を炭化したものや木灰などの炭化物も、土壌改良資材として、また、保肥材として貴重な農業資材でした。しかし、これらの土と作物を同時に育てる伝統的な技術も、20世紀になって農業技術が進歩するにつれて徐々に忘れ去られ、更に、20世紀後半には、山林から得られていたエネルギー源の薪炭も化石燃料に変わり、日本の自然も大きくその姿を変え、森林の荒廃もすすんでいます。

 生物資源を熱分解することで、炭素密度の高い、ほぼ結晶質の物質ができます。微生物にも分解できないため、二酸化炭素の大部分を半永久的に土中に封じ込めることが可能です。農作物の残さを炭化すれば、廃棄物の処理費も減らせます。同時に、植物が吸収してくれた二酸化炭素を固定化し、大気中から除去することで、大気中の炭素の循環を整えることもできます。そして、バイオ炭はカーボン・クレジット(削減効果の排出権)としても大きな注目を集めているところです。現在、世界中で発行されているカーボン・クレジットの内訳をみると、バイオ炭の割合が高くなっています。マイクロソフトやJPモルガン・チェースといった大企業は既に数百万ドルものバイオ炭のカーボン・クレジットを購入しています。

 人類の生産活動から発生する温室効果ガス排出量は、京都議定書をはじめ、度重なる申し合わせにもかかわらず、増加の一途です。国際的にも削減努力が叫ばれているものの、その効果は一向に上がらず、温暖化による気候変動は現実のものとなっています。温暖化の影響は海洋にも及び、異常気象による自然災害の頻度はあがり、人口の増加につれて農業生産は危ぶまれ、世界中で森林の衰退や消失が進行中です。ついひと昔前まで、食糧・エネルギーの確保や自然環境の変化がこれほど深刻になろうとは誰も予測できなかったことでしょう。一企業としてできることは限られておりますが、弊社も事業をすすめていくなかで、何かお役に立てることがないのか、考えを巡らせて参ります。

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