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昨日は敬老の日。国民の祝日に関する法律では、「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを趣旨としています。皆様のご家庭では何かお祝いの行事をなされたでしょうか。9月中旬とはいえ、まだ暑い日もございますので、体調管理には十分ご留意下さい。
今年6月下旬、米国オレゴン州マルトノマ郡は2021年のヒートドームで生じた気候災害の損害について、エクソンモービル、シェルなど化石燃料と石炭の生産に関わる大手企業や、石油大手に助言をしているという理由でコンサルティング会社のマッキンゼー・アンド・カンパニーに対する訴訟を起こしました。ヒートドームは、高気圧が長い間停滞することで、その下に熱い空気が閉じ込められて生じる現象です。2021年6月下旬からマルトノマ郡は過去に例をみない猛烈な熱波に襲われました。3日連続で気温は42.2℃、44.4℃、46.7℃に達しています。この地域の平均気温を最大22℃上回り、観測史上最高の気温となりました。熱波によって69名が死亡したほか、物的損害のため、税金と郡の財源からの多大な支出を余儀なくされています。
その後、世界で著名な気候科学者数名が原因を調査しました。「この現象は大気を汚染した化石燃料の排出が原因である。汚染は地球の気温上昇や、地域の干ばつ・土壌の乾燥をもたらした。こうした状況が、太平洋北西部上空に停滞した高気圧と結びついたことで、普段は温暖な気候の地域が、まるで対流式オーブンのような状態に変わった。」と結論づけています。マルトノマ郡はこの訴訟で実際の損害として5000万ドル、将来の損害として15億ドルを求めているほか、人々の健康を守るため、公的医療サービスとインフラへの500億ドルの財源を要求しました。
近年、気候変動に関する国際的な合意形成がすすむなか、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が2021年8月に公表した報告書では、「人間の影響が大気、海洋、及び陸域を温暖化させてきたことには疑う余地がない」とし、地球温暖化が更に進行するにつれて、大雨や高温の極端現象の頻度と強度が増加することを定量的に示しています。また、昨年2月の報告書において、「次の数十年間またはそれ以降に、地球温暖化が一時的に1.5℃を超える場合には、1.5℃以下に留まる場合と比べ、多くの人間と自然のシステムが深刻なリスクに追加的に直面する。」と警鐘を鳴らしました。更に同年4月に公表された報告書では、「2020年末までに実施されるものを超える政策の強化がなければ、温室効果ガス排出量は2025年以降も増加すると予測され、そうなれば2100年までに中央値で3.2℃の地球温暖化をもたらす。」とし、早急な対策の重要性が示されています。
国連はこのような背景の下で、気候適応の実施に関する国連世界早期警戒イニシアティブを立ち上げ、世界気象機関(WMO) の主導により、今後5年間で世界中の人々が早期警戒システムにアクセス可能とすることを目標として掲げました。不動産を所有・管理する弊社としても動向に注目して参ります。