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立春を過ぎ、暦のうえでは春になりました。とはいえ、まだまだ寒い日は続きます。皆様も体調には十分ご留意のうえ、お過ごし下さい。
体調が優れず、病院やクリニックのお世話にならざるを得ない場合も少なくありませんが、昨年10月、河野デジタル相は、来年秋までに健康保険証を原則廃止し、マイナンバーカードと一体化する方針を示しました。マイナンバーカードの取得は任意にもかかわらず、これでは実質的に義務化するようなものです。ようやく50%を超えたマイナンバーカードの取得率をほぼ100%にするという、政府目標達成のための窮余の策といえます。この方針に対しては批判の声が多方面から寄せられたため、政府も再検討を余儀なくされることとなりました。
今回の件に限らず、マイナンバーカードを巡っては混乱が目立ちます。制度が社会に浸透していないのは、ユーザーである国民の立場に立った設計になっていないからでしょう。例えば、制度が複雑でわかりにくいことがあります。マイナンバーカードをオンラインで利用する際には、カードのICチップ内に格納された電子証明書を使い、マイナンバーは使いません。「マイナンバーカードを使う」と「マイナンバーを使う」は必ずしもイコールではなく、多くの国民にとっては理解しづらいでしょう。また、マイナンバーカードには身分証明書の機能があるうえ、今後は健康保険証のほか運転免許証とも一体化されることになり、当然ながら携行が前提となります。マイナンバーカードの裏面にはマイナンバーが記載されていますが、これまで政府は様々な場で、マイナンバーを他人に知らせてはならない、身分証明書として利用する場合でも裏面をコピーさせてはならない、と訴えてきました。国民の間には、マイナンバーが流出すると深刻な被害を招くとの意識も植え付けられていますので、常にもち歩かなければならないことに抵抗感があるかもしれません。実際のところ、マイナンバーカードを紛失するのはもとより、裏面のマイナンバーを他人に絶対にみられてはならないとの判断から、マイナンバーカードを自宅に大事に保管しておく、あるいは、そもそもカード自体を取得しないという行動を引き起こしました。最近になって、マイナンバーを他人にみられても悪用できないといった説明がなされるようになりましたが、一度定着した意識を払拭するのは、そう簡単なことではありません。
マイナンバーカードはもとより、マイナンバー制度そのものに対しても、国民の間で根強い不安・不信があります。そのなかには誤解や杞憂も含まれていますが、政府がなすべきは、河野デジタル相も邪道と認めている、マイナポイントなど制度とは無関係の特典を用意してマイナンバーカードの取得率を引き上げることではなく、国民が自らすすんで保有したくなるように、マイナンバーカードの利便性を高めることが必要です。そのうえで、コロナ禍で明らかになった日本のデジタル化の後れを挽回するために、マイナンバーカードがいかに重要か、また、適切に管理すれば決して怖いものではないことをあらゆる場で繰り返し丁寧に説明していくことが求められています。
さて、マイナンバー制度ではありませんが、弊社もデジタル化をすすめておりますので、顧客情報などの管理には細心の注意を払って取り組んでいるところです。皆様からより一層信頼していただける企業になれるよう、今後も努めて参ります。