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昨日は海の日。国民の祝日に関する法律では、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」ことを趣旨としています。海の日のそもそもの由来は、1867年7月20日、明治天皇が明治丸という汽船で東北から横浜まで無事に帰港された出来事にあり、船の安全性が証明されたことから、7月20日を海の記念日としました。その後、1995年に海の日として祝日となりましたが、現在はハッピーマンデー制度のもと、第3月曜日に変更されています。
3ヵ月ほど前になりますが、環境省から「2022年度の我が国の温室効果ガス排出・吸収量について」が公表されました。2022年度の日本の温室効果ガスの排出量は約11億3500万トンで、前年度比2.5%の減少、2013年度比19.3%の減少です。前年度からの排出量減少の主な要因は、産業部門や家庭部門における節電、省エネ努力などにより、エネルギー消費量が減少したことが考えられます。2022年度の森林からの吸収量は約5020万トンで、前年度比6.4%の減少です。吸収量の減少については、人工林の高齢化による成長鈍化などが主な要因となっています。
また、日本建設業連合会などの協力によって科学的な知見やデータが整ったため、世界で初めて、環境配慮型コンクリートによる吸収量(二酸化炭素固定量)を算定しました。更に、国土交通省と農林水産省の連携により、こちらも世界で初めて、海草藻場の吸収量を算定しています。今後は塩性湿地・干潟についても検討していく予定です。
次も関連する海外のお話になりますが、昨夏、大西洋に巨大な海藻の島が出現し、海岸に漂着しました。以前にもマット状の褐藻(サルガッサム=ホンダワラ属の海藻)がカリブ海の熱帯地域の海岸を覆ったことはあったものの、今回の異常発生は過去最大級で、その範囲は5000マイル以上に及んでいます。2011年以降、大西洋中央部とカリブ海で、これまでになく頻繁にみられるようになりました。かつては、この海藻の名前の源である大西洋中央部のサルガッソ海での現象でしたが、いまやサルガッサムのマットは増え続け、生態系にダメージを与えるのみならず、経済にも悪影響を及ぼしています。
小さなサルガッサムのマットは、ウミガメや魚、カニ、鳥に餌と安全な場所を提供するため、有益です。また、商用の魚種にとって重要な生育地でもあり、漂着すると海辺の浸食の抑制にも役立ちます。ただし、大きくなりすぎた場合、日光を遮って、下にある貴重な海草を死なせてしまいます。サルガッサムが死んで分解すると、サンゴを窒息させ、水中の酸素を奪い、魚が生きていけません。また、ウミガメにとっても、大事な営巣地への行く手を阻まれたり、孵化したばかりの子ガメが沖合いへ泳いでいくのが妨げられてしまいます。更に、
茶色いスライム状になったマットは腐った卵のような臭いを発し、観光客を遠ざけ、2018年のカリブ海全体での除去費用は1億2000万ドルを超えました。ヒ素やその他の重金属が含まれているため、食用や肥料には適しませんが、そのままにしておくと、淡水化プラントや発電所のパイプを詰まらせたり、漁船や装置、漁具を破損させたりする可能性があります。
この浮かぶゴミの山でしかないものに、スコットランドのシーウィード・ジェネレーション社はチャンスを見出しました。太陽光発電で動くロボットを使い、海をきれいにすると同時に二酸化炭素を隔離しています。このロボットは海面をゆっくりと滑るように移動しながらサルガッサムを集め、200メートル潜って放しますが、これだけ深いと、サルガッサムの浮力を保つ空気嚢が圧縮され、海底に沈んでいくそうです。サルガッサムは光合成のために二酸化炭素を取り込んでおり、海底に沈むことで、二酸化炭素も長期間、そこに留まることになります。
社会や地域の問題を解決しながら、より大きな地球規模の問題にも取り組もうとする姿勢は見習うべきものです。国内外のこうした事例をみながら、弊社では何ができるのかをよく考え、実行していければと思っています。