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総務省が今月20日に公表した人口推計(今月1日現在の概算値)によりますと、15歳未満は1386万人、15歳以上65歳未満は7366万人、65歳以上は3625万人となりました。総人口1億2378万人に占める割合は、それぞれ10.6%、57.1%、32.3%です。
少子高齢化の影響から労働人口が激減し、従業員獲得を競い合う時代に入っています。経営者は働く環境の変化を認識して対応していかなければ、競争に負けてしまうでしょう。若い経営者は変化に気づいていますが、企業全体が変わっていかなければなりません。
従業員のメンタルヘルス(心の健康)を維持・改善しようとする企業が年々増えています。7~8年前には組織改革に前向きなIT企業が中心でしたが、現在は一般的な大企業にも浸透してきました。厚生労働省の調査によると、メンタルヘルスの対策を講じる企業の割合は2011年の4割から2022年には6割に上昇しています。企業の情報開示にも従業員のメンタルヘルスケアをうたう項目が増加中です。背景には休職者の増加があります。こちらも厚生労働省の調査では、過去1年間にメンタルヘルスの不調で1カ月以上休職、または退職した従業員の割合は1000人以上の事業規模で1.2%でした。2020年調査の0.8%から増加しています。現代社会はメンタルヘルスに不調を抱えやすい環境へと変化しました。20~30年前と比べ、インターネットの急速な発達により、1日に触れる情報の量が急増しています。大量の情報を素早く処理しながら、業務をこなさなければなりません。1日の業務量も、一昔前に比べて増えているでしょう。更に、社会のコンプライアンス意識が高まり、業務中のミスは許されません。こうした環境下に長時間労働が加われば、メンタルヘルスに不調をきたす可能性は高まります。現代は猛烈に働いても高成長が見込めるわけではなく、社内ハラスメントまで起きれば、不調に拍車をかけることになるでしょう。
従業員の精神状態をはかる指標のひとつに、2015年に義務化されたストレスチェック(常時50人以上の従業員を使用する事業場)があります。義務化当初は従業員へのアンケート実施にとどまる企業が多かったものの、現在はデータを分析して職場改善に生かす事例が増えてきました。第一三共はストレスチェック実施に加え、年4回の心理状態をスコア化する調査もおこない、従業員の心身状態を分析しています。スコアが一定基準を下回ったり、前回調査から急低下したりした際には、上司や人事担当者が従業員と面談することになります。心身状態を定期的に観測することによって、異変をいち早く察知できるでしょう。
企業のメンタルヘルス改善の取り組みを支援するサービスも拡大中で、例えば、メンタルヘルステクノロジーズは休職者の復職を伴走するプログラムを提供しています。うつ病など心身に不調をきたした際には、職場復帰しても再度休職することが多く、医師から復職の許可が出ても、通常業務をこなさず助走期間を設ける必要があり、同社では復職までのステップを4つに分け、心身の状態にあわせて徐々に業務量を増やすといった提案をしています。
企業のメンタルヘルスへの取り組みは、人手不足の解消のみならず、業績面にもプラスの効果をもたらす可能性があるようです。野村証券が、経済産業省が企業向けに実施する健康経営度調査などのデータを基に、健康経営と企業業績の関係性を解析したところ、メンタルヘルス不調による休職者の割合が低い企業は、ひとり当たり営業利益が高くなる傾向がみられました。また、健康診断の実施率が低い企業は、売上高利益率が低い傾向もあるようです。弊社は少数精鋭ということもあって従業員50人未満となっており、ストレスチェックが義務化されてはいないものの、従業員のメンタルヘルスへの取り組みにも、当然ながら注力して参ります。