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今年も残りわずかですが、コロナ感染対策を講じたうえで、年末年始に帰省や遠出を予定されている方もたくさんいらっしゃることでしょう。東京駅を利用される方も少なくないものと思われますが、明日12月20日で開業(1914年12月20日)108年になるそうです。開業当初、丸の内のオフィス街は未完成で、周辺の交通機関も未整備であったことから、一日の平均乗降人員は9500人程度に過ぎなかったとか。何もない原っぱのなかに壮大な駅舎が立ち、夜になると周囲は真っ暗といった状況でした。それがいまや、プラットホームの数は日本一多く(在来線9面18線、新幹線5面10戦、地下鉄1面2線)、一日当たりの列車発着本数が約3000本という日本を代表するターミナル駅になっています。
日本はバブル景気崩壊後の経済停滞で失われた20年といわれていましたが、それが30年に伸び、更に今後、40年ともなりかねない状況です。GDPの上昇率はOECDで最下位、生産活動が東アジアから東南アジアや人件費の安い南アジアにシフトし、国内の生産活動は急速に萎んでしまいました。少子高齢化も進行し、人口減少は現実のものとなっています。
その結果、鉄道旅客の減少が予想され、特に地方のローカル線は深刻です。現在は大幅割引のある通学定期券を利用できる高校生の通学輸送が中心となっていますが、その高校生も、通学中に犯罪に巻き込まれてはいけないと、自家用車での送迎が増えてきています。また、人口構造の変化により、高校生の数自体が大きく減少していることはいうまでもありません。
いまや地方では、日常生活において自動車は必須ですが、モータリゼーション以前は、路線バスや鉄道といった公共交通機関が、地域の通勤・通学や日々の生活のために利用されていました。昭和40年代には自動車の価格の低下、性能・燃費の改善、道路環境の整備により、一気にモータリゼーションがすすんだものの、当時はまだ道路の整備が十分ではなく、慢性的な渋滞、排出ガスによる大気汚染で、自動車の増加による社会的費用は増大しています。公共交通の利用促進による自家用車の使用を抑えることが社会的に求められていました。しかしその後、自動車利用に伴う社会的影響が大きく改善し、更に環境負荷の低い電気自動車が登場するなど、これまで鉄道のメリットとされていた項目が、必ずしも意味をなさなくなっています。そして、新型コロナウイルスの感染拡大により、移動需要の減少に加え、他人との接触機会の多い公共交通機関を避けて自家用車を利用する傾向が強まりました。コロナ禍が落ち着いても、自家用車への依存度が高まった生活様式は変わらないでしょう。公共交通機関には大きな構造改革が求められています。
こうした状況下、国土交通省は今年4月に検討会を立ち上げ、7月に検討結果が報告されました。JR路線だけが対象ですが、鉄道の利用が少ない路線について、鉄道会社と自治体に対し、鉄道輸送に適さない分野として、最適な交通モード転換への協議をすすめることを要請しています。従来、この種の協議会は自治体が設置してきましたが、今回の報告を受け、国が主体的に協議会の設置に関わることになり、議論の促進をすすめていくことになりました。JR各社は鉄道の廃止を議論の前提としないことを表明していますが、利用の極端に少ない路線・区間は既に鉄道の使命が終わったとみなし、他の交通モードへの転換をほのめかしています。
さて、そのJR各社が誕生したのは、国鉄が民営化された1987年4月1日ですが、その4ヵ月ほど前の1986年11月27日、弊社は設立されました。今週末には36回目となる定時株主総会を予定しています。これからも株主の皆様をはじめとする関係者の方々の期待に応えられるよう、事業活動に励んで参ります。