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今年も残りわずかとなりましたが、歴史を遡りますと、97年前の1926年12月25日、大正天皇の崩御に伴って皇太子裕仁親王が皇位を承継し、昭和へ改元されました。昭和は最も長く続いた日本の元号です。元年と64年はどちらも7日間のため、期間は62年と14日になります。外国のものを含めても最長の元号であり、歴史上、昭和の他に60年以上を数えた元号は、清の康熙(こうき、61年)と乾隆(けんりゅう、60年)しかありません。20世紀の6割以上を占め、世界史上の歴史区分でも、近代と現代のどちらにも属しています。日中戦争、太平洋戦争、高度経済成長、バブル景気など、社会の価値観・諸制度や政治体制を大きく揺るがす出来事が起こりました。「激動の日々を経て、復興を遂げた昭和の時代を顧(かえり)み、国の将来に思いをいたす。」(国民の祝日に関する法律第二条)という趣旨で、昭和天皇の誕生日である4月29日を、2007年から昭和の日(それまでは、みどりの日)としています。激動の昭和の最中、バブル景気がまさにはじまろうとしていた1986年11月27日、弊社も設立されました。
激動というのは大げさかもしれませんが、政府は現在、日本の競争力底上げに欠かせない三位一体の労働市場改革をすすめています。その柱のひとつとされているが、成長分野への円滑な労働移動です。終身雇用や年功序列に代表される日本型雇用は労働移動を妨げる一因となってきました。生産年齢人口が減少傾向にあるなか、限りある労働力がより効率的に活用されることによって企業の生産性を高め、経済成長につなげる方向に舵を切っていかなければなりません。
総務省の労働力調査によると、転職希望者は増加傾向にあり、転職が当たり前になりつつあります。昨年に転職を希望した人は968万人と過去最高を記録しました。10年間で2割増え、今年は1000万人超えが予想されており、実際に転職した人の数も昨年は303万人で、コロナ禍前の2019年(353万人)に迫る勢いです。約6800万の就業者数の7人にひとりが転職を希望し、実際に転職をした人の数でみても、年間に100人のうち4~5人が転職していく計算になります。
同じ会社で働き続ければ給与は上がり、転職すれば下がるという考え方が、日本の転職市場では長らく常識として根付いてきました。それが人手不足を背景に、過去のものになりつつあります。実際のところ、厚生労働省の雇用動向調査(2022年版)で転職入職者の賃金変動状況をみると、増加した人の割合は減った人の割合よりも1ポイント多くなりました。コロナ禍前の2019年はマイナス1.7です。年齢別では35~39歳がプラス21.6、25~29歳がプラス18.9と、若年層を中心に転職後の賃金が上がる傾向にあります。40代でも、40~44歳プラス5.7、45~49歳プラス6.6となり、プラスを確保しました。民間企業の調査でも同様の傾向を示し、転職は35歳が限界という見方も薄れてきています。
円滑な労働移動を実現するには、長期雇用を前提とする慣習が根強い日本でみられる、企業と従業員がお互いに甘えあうような構図からの脱却が必要でしょう。かつて企業は従業員が辞めないことを前提に、転職しようとする人を裏切り者扱いする事例も散見されました。今では退職する従業員と良好な関係を保ちながら、円滑に辞めてもらうオフボーディングと呼ばれる施策に乗り出す企業も増えています。また、退職者(卒業生)ネットワークを構築する動きも盛んです。賃金上昇を伴い、働きがいも高まるような真の意味での円滑な労働移動を日本に定着させるためには、企業と従業員、それぞれの意識と行動の変革が欠かせません。大転職時代の到来に向け、弊社でも人材戦略に磨きをかけて参ります。