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今年も残すところ、あと3週間足らずですが、12月12日は山の神の日とされています。といいましても、年明けにおこなわれる箱根駅伝とは無関係です。古来より、12月12日は山の神の誕生日とされ、山の神が山の木を一本一本数えるといわれています。ですから、この日は山で仕事などをしてはいけません。禁を破って山に入ってしまうと、人間も木として数えられ、二度と戻れなくなってしまうそうです。
森林は地球温暖化の防止、木材をはじめとする林産物の供給など多面的機能を有しており、国民生活の安定向上及び国民経済の健全な発展に大きく貢献していることはいうまでもありません。こうした機能を持続的に発揮していくためには、森林の適正な整備・保全を推進する必要があります。日本の森林面積はほぼ横ばいで推移し、2017年3月末現在で2505万ヘクタールとなっており、国土面積3780万ヘクタールのうち約3分の2は森林です。その約4割に相当する1020万ヘクタールは人工林で、終戦直後や高度経済成長期に造林されたものが多く、その半数は一般的な主伐期である50年を超え、本格的な利用期を迎えています。所有形態別にみると、森林面積の57%は私有林、31%は国有林、12%は公有林です。
森林には山地災害防止・土壌保全機能、地球環境保全機能、木材等生産機能、生物多様性保全機能、保健・レクリエーション機能といった様々な働きがあります。例えば、山地災害防止・土壌保全機能とは、森林の樹冠(樹木の上部で葉が茂っている部分)による雨水の遮断や、下草や落葉落枝による土壌の被覆により、雨水などによる土壌の侵食や流出を防ぐとともに、樹木の根が土砂や岩石を固定することで、それらの崩壊を防ぐ機能のことです。地球環境保全機能とは、樹木が大気中の二酸化炭素を吸収し、立木や木材として固定するとともに、バイオマス燃料として化石燃料を代替することなどにより、地球温暖化防止に貢献する機能のことで、適切に手入れがなされている36~40年のスギ約451本分の年間吸収量は、家庭からの一世帯当たり年間排出量約3971キログラム(2019年度)に相当します。内閣府が2019年10月に実施した、森林と生活に関する世論調査において、森林の有する多面的機能のうち、森林に期待する働きについてたずねたところ、「山崩れや洪水などの災害を防止する働き」、「二酸化炭素を吸収することにより、地球温暖化防止に貢献する働き」、「水資源を蓄える働き」と回答した割合が高くなりました。
地球環境や社会・経済の持続性への危機意識を背景に、持続可能な開発目標(SDGs)が注目され、SDGsでは、17の目標のなかのひとつに、持続可能な森林の経営を含む目標が掲げられているなど、森林の多面的機能がSDGsの様々な目標の達成に貢献しています。日本は2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにするカーボンニュートラルの実現を目指しており、大気中の温室効果ガスの吸収源として、森林が大きな役割を果たすこと、また、生産した木材の建築物などへの利用によって炭素が長期間貯蔵されることが期待されているところです。
今年5月、ある大手建設会社は自社の次世代型研修施設として、全ての地上構造部材(柱・梁・床・壁)を木材とした高層純木造耐火建築物を建設しました。純木造耐火建築物としては国内最高となる高さ44メートル(11階建て)です。建築物への木材利用は二酸化炭素を長期間固定することで脱炭素社会の実現に貢献するだけではなく、使う・植える・育てるというサーキュラーエコノミー(循環型経済)の観点からも関心・ニーズが高まっています。弊社でも将来、高層純木造耐火建築物を所有し、それらの家賃収入を分配原資とした不動産小口化商品を皆様に提供できる場面がおとずれるかもしれません。