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一昨日は天皇誕生日ですが、ふ(2)じ(2)さん(3)と読む語呂合わせと、この時期に山がよく望めることから、複数の団体が2月23日を富士山の日と定めています。富士山は2013年に世界遺産に登録されました。世界遺産は文化遺産、自然遺産、複合遺産の3つに分けられ、富士山を世界遺産に登録する活動は当初、自然遺産を目標にはじまっています。しかし、富士山は自然遺産の候補にも入りませんでした。世界の山々に比べると、富士山の形や火山活動はそれほど珍しいものではなく、また、こちらの理由の方が大きかったのかもしれませんが、ごみなどを原因とする環境悪化が深刻だったからです。そこで目標を文化遺産に変更し、登録を果たしました。富士山の山頂には研究所が設置され、大気化学や天文学など30もの研究がすすんでいます。なかでも成果が上がっているのが雲の研究です。近年、富士山の雲からマイクロプラスチックがみつかりはじめ、国内のみならず、世界各国からも注目されています。
いまや人々の生活に欠かすことができないプラスチックですが、ひとたび海洋に流出すると、回収は容易ではありません。また、劣化しにくいため、長期間にわたって海洋を漂い続け、ウミガメやクジラが餌と間違えて捕食するなど、海洋生物への影響も深刻です。海流にのって遠くの沿岸に漂着し、海岸のごみ問題も引き起こしています。海洋プラスチックごみ問題を解決するには、海洋生態系の汚染という結果だけではなく、廃棄物の不適切な管理を国際社会がどのように協力しながら防ぐべきかという課題に目を向けなければなりません。
1990年代以降、アセアン諸国やインド、中国などでは、経済発展によってプラスチックの利用が急激に増加しました。一方で、日本や欧米先進国のような廃棄物の公共回収システムが整備されていないため、生活ごみの河川への投棄や、野積みされた廃棄物の河川流出が大量に発生し、加えて、先進国から中国や東南アジアへ大量の廃棄プラスチックがリサイクル原料として輸出されています。そうした廃棄プラスチックのなかには、リサイクルに適さない、洗浄や分別が不十分で生ごみなども混入している汚染されたものも少なくありません。
こうした状況下、廃棄プラスチックの問題は国際社会においても大きな課題として取り組みがすすめられています。2017年8月に中国が廃棄プラスチック輸入の全面禁止に踏み切り、2019年3月には約160ヵ国の代表、市民団体やNGOが出席したUNEP(国連環境計画)の第4回国連環境総会で、海洋プラスチックごみ及びマイクロプラスチックに関する決議が採択されました。更に、2019年5月にバーゼル条約附属書改正がおこなわれた結果、汚染された廃棄プラスチックの輸出は国際的に厳しく規制されています。
同年6月のG20大阪サミットでは、2050年までに海洋プラスチックごみによる追加的な汚染をゼロにすることを目指す、大阪ブルー・オーシャン・ビジョンが承認され、日本が事務局として中心的な役割を果たしていくことが合意されました。
廃棄物処理システムが未整備な国々における廃棄物の河川・海洋への投棄や、野積みされた廃棄物の流出が海洋プラスチック問題の主原因であり、これらを改善することなく、海洋流出を止めることはできません。国際的な廃棄物管理システムのレベルアップをはかるためには、先進国からの廃棄物処理に関する技術協力や人材育成支援など、地に足のついた国際協力が問題解決への早道となるでしょう。また、適切な回収システムによる環境への流出抑制に加え、流出してしまったごみを回収する地道な清掃活動も不可欠です。日本では様々なNPOやNGOが各地で街路、河川、海岸のごみを回収する清掃ボランティア活動に取り組んでおり、弊社で何かお手伝いできる場面があれば、協力していきたいと考えています。