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早いもので10月も間もなく終わり、明日から11月ですが、歴史を遡りますと、ちょうど11年前(2011年10月31日)、国連から、世界の人口が70億人を突破したとの報告がなされています。
その国連は、7月11日の世界人口デーに合わせ、『世界人口予測2022』を公表しました。世界の人口は今年11月15日に80億人に達する見込みです。この80億人到達は、祝福すべきことであると同時に、今後の人類が直面する課題への解決策を見出すための、呼びかけでもあるとしています。80億人に至る人口増加のうち半分はアジアによるものでした。また、アフリカは約4億人で2番目に大きい増加です。70億人から80億人への増加の半数以上は10ヶ国で占められ、なかでもインドが圧倒的に多く、次いで中国、そしてナイジェリアの順でした。90億人到達にもアジアとアフリカによるところが大きいようです。世界の人口は2080年代に約104億人のピークを迎え、2100年まで、その水準で推移すると予測されています。
さて、生産年齢人口の減少が加速している日本では、人材への投資によって生産性を高めていかなければならず、その一環として、政府は人的資本情報の開示指針を公表しました。8月末に公表された内閣官房のホームページでは、国際標準化機構(ISO)、米国証券取引委員会(SEC)、米国サステナビリティ会計基準審議会(SASB)など国内外の関係機関が策定した指針を比較分析しています。そしてこれらを踏まえ、スキル、採用、ダイバーシティといった企業に開示を推奨する7分野19項目を列挙しました。
指針は法的義務のない任意規定ですが、6月に閣議決定した骨太の方針で、人への投資を柱に据えた岸田政権にとって、その重要度は高いものです。国内総生産(GDP)比で先進国最低の民間教育・研修費が低成長の遠因であるとみる政府は、指針に基づく情報開示を企業に促すことによって、資本市場の圧力もテコに、人材投資の後押しを狙っています。これに前後して、2023年度に有価証券報告書で一部の人的資本情報の記載を義務化する方針も示されました。
近年、人材がもつ知識やアイデアといった無形資産が、企業競争力の源泉になるとの考え方は浸透しており、働き手のリスキリング(学び直し)などの重要性は広く共有されています。ただ、多くの企業は情報開示の準備はできていません。ある人材コンサルティング会社の6月の調査によれば、上場会社の9割は自社の人的資本情報開示に課題があると答え、「具体的なすすめ方が分からない」(53%)、「社内データの集め方がわからない」(45%)を理由に挙げる人が多かったそうです。暗中模索の企業は今回の政府指針に対策の手引きとしての期待を寄せていましたが、内容はそれに応えるものではなく、指針というよりは単なる資料集にすぎないとの意見もあります。
人的資本とは企業価値の源泉としての人材を意味しています。日本では長らく人材はコスト要因とみなされてきましたが、産業のサービス化・デジタル化の加速で、経営者や投資家の多くは人材投資を成長の原動力と位置づけるようになりました。経済産業省が2020年に公表した人材版伊藤レポートは企業価値向上のための人的資本の重要性を提言し、昨年改訂されたコーポレートガバナンス・コード(企業統治指針)も人的資本開示を要請しています。弊社も上場企業として相応しい対応を心がけて参ります。