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先週14日の金曜日は公的年金の支給日でしたが、80年前の1944年6月、工場などの男子労働者を被保険者としていた労働者年金保険法が厚生年金保険法へと改称されました。被保険者の範囲を事務職員、女性へ拡大するなどの改正もなされています。
民間の会社員や公務員と異なり、自営業者や農業従事者については、当時、公的な年金制度が存在していませんでした。しかし、戦後の立ち直りがすすむなか、核家族化の進行や人口の都市集中、将来の高齢化社会への展望などを背景に、全国民を対象とした老後の所得保障の必要性が高まり、1959年に国民年金法が制定され、1961年4月から国民皆年金が実現しています。
その公的年金ですが、法律の規定により、少なくとも5年に一度、財政の現況及び見通しを公表する、いわゆる財政検証をおこなわなければならず、今年は該当年にあたります。財政悪化により、目減りが続いてしまう基礎年金を底上げする対策が最大の焦点になりそうです。苦境に陥った背景には、100年安心プランを銘打った2004年改革の誤算があるといわれています。その反省や検証をせず、泥縄的な対応でしのぎ続けるのでは、国民の理解を得られません。
厚生労働省は今夏にまとめる財政検証で、公的年金の1階部分にあたる基礎年金を底上げする2つの制度改正案の影響を調査します。このうち保険料納付期間の延長は分かりやすいもので、現行の基礎年金は20~59歳の40年間保険料を納めると、65歳から満額(月額約6万8000円)が支払われるようになっていますが、改正案は納付期間を64歳まで5年間延長させ、納める保険料総額が増える一方、支払われる年金も増やすという形になります。そして政府が最も実現したいのは、おそらく基礎年金の給付調整期間の短縮でしょう。現状では基礎年金の財政を均衡させるには2046年まで給付水準を下げ続けなければならず、これを厚生年金からお金を回すことで財政を改善させれば、給付調整を2033年で打ち止めにできる見込みです。基礎年金は給付の半額を国費で賄わなければなりません。年金水準を底上げすれば連動して税金の投入額も増えるので、自営業者の国民年金だけではなく、大半の厚生年金加入者にも底上げの恩恵が及ぶのがこの案の売りとなっています。
年金財政の悪化というと少子化の影響を想起しがちですが、基礎年金の苦境の背景には2つの制度欠陥があります。2004年改革の目玉だったマクロ経済スライドは、少子高齢化で年々重くなる現役世代の負担を引退世代と分かち合うものでした。高齢者の増加に伴う年金保険料の上昇に歯止めをかける一方、足元の年金水準を20年間かけて毎年少しずつ引き下げ、その後の年金水準の維持を目論んでいたものの、デフレ下ではこの措置を見送るルールにしたので、実際に発動されたのは5回だけになります。その結果、この20年間の年金抑制が想定ほどにはすすんでいません。
もうひとつの欠陥は賃金下落への想定が甘かったことです。基礎年金は賃金よりも物価水準を重視して毎年の年金額を調整する仕組みにしていたので、デフレで賃金が下がっても年金水準は物価に合わせて高止まりしました。賃金重視型の調整ルールに修正したのは2021年度です。
公的年金だけで老後の生活が維持できないとなると、働き続けるか、何か別の方法を考えなければなりません。お金にも働いてもらう手段のひとつとして、弊社のi-Bondを活用していただければ幸甚です。