2025.03.24社員ブログ

最後の石炭火力発電所・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 3月24日は世界結核デーです。世界保健機関(WHO)が結核根絶への誓いを新たにするため、1997年の世界保健総会で制定しました。ドイツの医師、細菌学者であったロベルト・コッホが結核菌を発見し、演説した日である1882年3月24日にちなんで、毎年3月24日を世界結核デーとしています。結核は太古より存在する病気として知られ、文字を有した文明の様々な記録から、有史以来、人類社会に蔓延していますが、未だ克服できていません。世界最初となった産業革命後、世界の工場と呼ばれて繁栄した英国でも大流行しました。最も繁栄を謳歌していた1830年頃のロンドンでは5人に1人が結核で死亡し、1841年の結核死亡率は、人口10万人あたり290人という極めて高い水準となっています。

 さて、その英国において、昨年9月末、同国最後の石炭火力発電所であるラットクリフ・オン・ソア発電所(イングランド中部)が操業を終了しました。これにより、英国の石炭火力発電の142年の歴史に幕が下ろされています。石炭火力発電所発祥の地であり、産業革命を支えた英国でのこの変化は、歴史的な転換点ともいえそうです。石炭火力発電所の全廃はG7諸国では英国が最初となりました。2015年、気候変動の目標を達成するための対策として、10年以内にすべての石炭火力発電所の操業を終了する計画を公表済みです。当時、英国の電力供給における石炭の割合は約30%でしたが、一昨年には1%強にまで減少しました。また、英国政府は、2030年までに国内の電力需要を100%クリーン電力で賄うという目標を掲げていますが、石炭発電所の操業終了はその実現に向けた大きな一歩となっています。一方、日本では現在もエネルギー供給割合の約30%を石炭が占めており、英国のようなエネルギー転換はすすんでいません。日本がこれからエネルギー転換を成し遂げていくにあたり、英国の事例から学んでいくべきでしょう。

 国民生活や経済活動に必要な一次エネルギー(石炭、石油、天然ガス、薪、水力、原子力、風力、潮力、地熱、太陽光、牛糞など自然から直接採取できるエネルギーで、一次エネルギーを転換・加工することで得られる電力、都市ガス、ガソリン、灯油などは二次エネルギー)のうち、自国内で確保できる割合をエネルギー自給率といいます。1960年度の日本は、石炭などの国産エネルギーで一次エネルギーの58.1%を賄えていましたが、高度経済成長期にエネルギー需要が増加するなか、石炭から石油への燃料転換がすすみ、石油が海外から大量に輸入されるようになったことで、エネルギー自給率は大幅に低下しました。その後、原子力の導入によってエネルギー自給率は上昇傾向にあったものの、2011年の東京電力福島第一原子力発電所事故以降は原子力の発電量が減少し、原子力の発電量がゼロになった2014年度のエネルギー自給率は、過去最低の6.3%にまで落ち込んでいます。2015年度以降は、再生可能エネルギーの導入や原子力発電所の再稼働によってエネルギー自給率は上昇傾向となりましたが、現況のエネルギー自給率は13%程度と低い水準のままです。

 エネルギーは国民生活や産業活動の基盤をなすものであり、様々な課題を解決していくためには、政府や有識者頼みではなく、企業や個人がこうした課題を自分ごととして捉え、解決に向けて行動していかなければなりません。弊社でも日本が直面するエネルギー事情やエネルギー政策への理解を深めて参ります。

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