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今月15日と16日、北海道札幌市で主要7カ国(G7)気候・エネルギー・環境担当閣僚会合がおこなわれています。気候変動やエネルギー、生物多様性、資源循環といった環境保全の取り組みについて議論がなされました。今年のG7会合で日本は議長国を務めています。昨年5月にドイツで開いたG7気候・エネルギー・環境相会合では日本以外の欧米6カ国が年限を区切った石炭火力発電の廃止を主張し、2030年代以降も活用を計画する日本は抵抗しました。気候変動対策でG7議長国である日本の指導力が問われています。
その気候変動に次ぐといわれるほど大きな地球環境問題となっているのが海洋プラスチック汚染です。人工物であるプラスチックは、生物の不要・廃棄物が別の生物の養分になるという自然の循環の外にあるため、これまで生産・消費されたプラスチックのほぼすべては、焼却されていなければ環境中のどこかに存在していることになります。生分解性プラスチックの開発・実用化がすすめられているものの、まだ全体のなかではわずかな割合にすぎません。今ですらプラスチック汚染は大きな問題であるのに、このままでは2050年までに世界の先進国におけるプラスチック消費量は2019年の2倍近くまで増加してしまうそうです。2050年までの間、毎年4億5100万トンのプラスチックが新たに消費されると試算されており、加えて、その消費量が今世紀中にピークに達して減りはじめるという目途も立っていません。
こうした状況下、国連でプラスチック汚染に歯止めをかけるべく、国際条約についての検討がはじまっています。昨年3月の第5回国連環境総会再開セッションにおいて、「プラスチック汚染を終わらせる:法的拘束力のある国際約束に向けて」が採択され、政府間交渉委員会を設置することが決定されました。政府間交渉委員会は昨年11月から来年末までに5回開催され、国際文書(条約)の策定にかかる作業の完了を目指し、来年末には国際条約が策定されます。
第1回政府間交渉委員会は、昨年11月末から12月初旬まで、ウルグアイにおいて開催され、150カ国以上の国連加盟国、関係国際機関、NGOなど約2300名が参加し、日本からは外務省、経済産業省、環境省から構成される政府代表団が出席しました。第2回政府間交渉委員会は今年5月にフランスで開催されることが決まっています。
プラスチックの生産や消費に影響を与え得るものとして、プラスチック用の樹脂生産への課税、プラスチック包装容器に対する拡大生産者責任、使い捨てプラスチックの段階的禁止などの議論もはじまりました。生産や消費が減ると困る人々、業界のロビー活動も活発化していくかもしれません。交渉の行方を見守りながら、一方で、条約成立を待つまでもなく、できること・すべきことを実行していく必要があります。不動産賃貸業を営んでいる上場企業として具体的に何ができるのか、弊社でも考えを巡らせて参ります。