2023.10.30社員ブログ

気候変動訴訟・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 10月も残すところあとわずか。明後日から11月ですが、気象庁が今月24日に公表した3ヵ月予報によれば、来月の気温は、全国で平年並あるいは高くなる確率がともに40%となっています。過ごしやすい季節ではありますが、皆様も体調を崩されることなどないよう、十分お気をつけ下さい。

 今年6月、英国のグランサム気候変動・環境研究所は、気候変動訴訟の世界動向に関する報告書を公表しました。気候変動訴訟は世界で少なくとも2341件(5月末現在)確認されており、過去1年はやや減少したものの、2015年のパリ協定以降、増加しています。最近の傾向として、NGO(非政府組織)や個人が訴えを起こす事例が目立っているようです。気候ガバナンス(合意をして守っていく体制)から除外されたり、それに不満だったりするグループが、交渉のテーブルにつくためのツールとして訴訟を利用していることもあります。

 気候変動訴訟には主に、政府に気候政策の改善を要求するもの、政府や企業に気候への考慮と意思決定を結びつけて有害な政策やプロジェクトを中止するよう求めるもの(新たな化石燃料プロジェクトの開発に抗議する事例が多い)、地方公共団体・金融機関・年金基金などに大量に炭素を排出するプロジェクトや活動への資金提供を取り止めるよう求めるもの、気候変動に関与したとされる政府や企業に現在・過去の金銭的な損失と損害への補償を要求するもの、政府や企業に対して低炭素社会への転換の貢献や気候科学の誤情報に関して的確でない言及や宣伝をする気候ウォッシングに抗議するもの、などです。暫定あるいは最終的に確定された549件の訴訟のうち、301件(約55%)が原告側に有利な判決となりました。気候変動訴訟は今後の対策に大きな変化をもたらすものとしても期待されています。

 さて、その気候変動を含め、環境、人権など、サステナビリティー全般の開示基準の整備が世界各国ですすめられ、EUでは義務化が決まり、日本企業も大企業を中心に対応が必須となりました。欧州委員会は今年7月末、企業持続可能性報告指令の詳細を定めた欧州持続可能性報告基準を採択しています。ESGなどそれぞれの項目で現時点では82の定量的な開示を求める内容となっており、従来の脱炭素目標から項目が大幅に増える見込みです。具体的にはEの分野で気候変動のほかに汚染、水資源、海洋資源、生物多様性、サーキュラーエコノミー(循環経済)など、Sの分野で自社のみならずサプライチェーン(供給網)上も含めた労働者保護の取り組みや顧客・最終消費者への影響などがあげられています。EU域外の企業でもEU域内での直近2年間の年間売上高平均が1億5000万ユーロ超の企業などは開示義務の対象となり、日本企業では800社程度が該当しています。

 昨年、九州大学がまとめた、企業のサステナビリティーの取り組みと業績の関係性の研究結果によれば、中長期的に業績にプラスに働くことが分かり、短期的には明確にプラスと断言できないものの、少なくともマイナスには働いていないとか。弊社でもサステナビリティーを意識した事業展開をすすめていくことはいうまでもありません。

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