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今年3月、企業や政府に環境影響情報を提供する英国の非政府組織であるCDPは、報告書『供給源での責任:サプライチェーン全体での水に関する取り組みの推進』を公表しました。この報告書は、世界の大企業3163社への調査結果を元にしたものです。現在、食料やエネルギーへの需要を満たす必要から、水資源への負担が増えています。国連によりますと、世界の水需要は2050年までに最大で30%増加する見込みです。世界のサプライチェーンはこの影響をダイレクトに受けることになります。
CDPの調査では48.8%(1542社)の企業が、「サプライチェーンにおける水リスクの問題に向かい合っている。」と回答しました。具体的には、サプライヤーとの契約に水に関する要求事項を盛り込む、水に関するデータを収集するなど、多くの企業が水リスクを考慮しています。そして623社は、実質的な財務的・戦略的影響を与えかねないサプライチェーンリスクに直面しており、これらのリスクは金額にして総額770億ドルに上るそうです。
既に取り組みをすすめている企業もあり、443社がサプライチェーンの水管理を改善するためのインセンティブを幹部層に提供しています。118社は調達・購買責任者に金銭的インセンティブを提供していますが、このなかには日本の企業も含まれていました。
さて、世界に目を向けてみると、渇水、洪水、水環境の悪化に加え、これらに伴う食料不足、貧困の悪循環、病気の発生が問題となっている地域が存在し、更に、人口増加がそれらの問題を深刻にさせているなど、世界の水問題は解決が急がれる重要な課題であることはいうまでもありません。昨年3月、国連において46年ぶりに水問題を中心に議論する国連水会議2023が開催されるなど、この分野での国際連携・国際協力の重要性は高まるばかりです。
現下、世界の水問題については、具体的には、記録的な豪雨によって人的被害が発生する災害や、サプライチェーンへの影響によって世界経済にまで影響を及ぼす災害が発生しています。また、新型コロナウイルス感染症への対応を機に、上下水道を含む公衆衛生分野への関心は高いものの、世界では安全な飲料水やトイレなど衛生施設へのアクセスはいまだ不十分な地域も少なくありません。豊かな暮らしを営むうえで、水と衛生は極めて重要なのですが、2021年7月に世界保健機関と国連児童基金が公表した、水と衛生に関する報告書によりますと、2020年時点で、世界人口の約3割にあたる20億人が安全な水を自宅で入手できない状況に置かれています。このうち7億7100万人は基本的な給水サービスすら受けることができません。また、世界人口の過半数となる41億人が安全に管理されたトイレを使用できず、このうち20億人は基本的な衛生サービスすら受けられずにいます。
2015年9月、ニューヨークの国連本部で開催された首脳会合において、持続可能な開発のための2030アジェンダが全会一致で採択され、目標6「安全な水とトイレを世界中に」を含む17の持続可能な開発目標(SDGs)が定められました。弊社でもより多くの目標に対応していけるよう、これからも具体的な施策の検討をすすめて参ります。