本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。
「われら連合国の人民は、われらの一生のうち二度まで言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害から将来の世代を救い、基本的人権と人間の尊厳及び価値と男女及び大小各国の同権とに関する信念を改めて確認し、正義と条約その他の国際法の源泉から生ずる義務の尊重とを維持することができる条件を確立し、一層大きな自由の中で社会的進歩と生活水準の向上とを促進すること、・・・・」
ちょうど77年前(1945年10月24日)、当時のソ連の批准により、この国際連合憲章が発効し、国際連合が発足しました。第2次世界大戦の勃発を防げなかった国際連盟の反省を踏まえ、51ヶ国によって設立されています。主たる活動目的は国際平和と安全の維持(安全保障)、経済・社会・文化などに関する国際協力の実現です。現在、国際社会に存在する国際組織のなかでは、最も広範・一般的な権限と、普遍性を有しています。
先月13日、来年9月までの1年間を会期とする第77期の国連総会(加盟193ヶ国)が、ニューヨークの国連本部で開幕しました。ロシアのウクライナ侵攻や食料危機、気候変動に伴う干ばつや洪水などへの対応が議論の焦点となります。新会期の議長に就任したチャバ・コロシ氏(ハンガリー)は、ウクライナでの紛争は全人類の転機となった、と演説し、意見の不一致や深い対立があるときに協力することこそ国連総会の使命だ、と訴えています。また、グテレス国連事務総長も同日、気候変動に伴う自然災害の増加を警告するメッセージを発表しました。産業革命前と比較した気温上昇幅を1・5℃とする目標の達成や、発展途上国への支援援助の充実に向けて、各国に結束を訴えています。
さて、国連の設立において、米国などと一緒に中心的な役割を果たした英国では、先月の国連総会開幕の5日前(9月8日)、長きにわたり公務に尽力したエリザベス女王が、96歳で人生の幕を閉じました。英国王室では1932年以来の伝統行事として、君主がその年の出来事を振り返って所感を述べる、君主のクリスマス・メッセージという短い演説を実施しています。エリザベス女王は、1957年に英国で初めて、テレビの生放送でクリスマス・スピーチをおこないました。以来、69回目の昨年まで、テレビでのスピーチが年末の恒例行事となっています。例年はウィンザー城やバッキンガム宮殿からの生放送となりますが、1989年のクリスマス・スピーチでは珍しく外の会場からメッセージを送りました。この年、地球環境問題について触れたエリザベス女王は、地球の将来を担う未来の子供たちに向けて特別なメッセージを伝えており、少し長くなりますが、ご紹介します。
「親は、自分の子供たちに平和で穏やかな環境で育って欲しいと願うものです。しかし、この世界の人々は、今世紀の大半を目まぐるしい変化と激動のなかで生きていかなければなりませんでした。変化や激動のなかにも、よいものもあれば、私たちの住む世界を脅かすものもあるかもしれません。子どもたちのなかには、他の子よりもずっと恵まれていない子がいます。そのような国の子どもたちは、自然環境が生活を非常に困難にし、洪水や干ばつなどの災害で農作物が荒れ果て、食べるものを確保するのがとても難しい国から来ています。この一年ほどの間に、多く人たちから、地球の未来を心配する手紙をいただきました。皆さんの多くは温室効果という言葉を聞いたことがあるでしょう。また、海や河川の汚染、森林の伐採など、より深刻な問題についても耳にしたことがあるでしょう。これらは、それが起こっている国だけに影響を及ぼすものではなく、世界中の隣人同士の協力が急務となっています。皆さんは、目前の人生や将来を楽観的に考えていることでしょう。でも自然界への被害をすべて防ぐには、すでに遅すぎるのです。悲しいことに、野生の動植物のなかには絶滅する運命にあるものもいます。しかし、忘れてはならないのは、私たちが意識と行動を変えれば被害を減らすのに遅すぎることはないということなのです。皆さんは宇宙から撮られた地球の写真を見たことがあるでしょう。太陽系の他の惑星と異なり、太陽の光で緑と青に輝く地球は、暮らすのにとても快適な場所にみえます。これらの写真は、地球上の全ての生命の未来が、私たちが互いにどう行動し、私たちと世界を共有する植物や動物とどう接するかにかかっていることを、私たちに気づかせてくれるはずです。(中略)子どもたち皆さんは、私たち大人たちにかけがいのないものを与えてくれます。あなたはまだ不思議な感覚で世界をみていて、人生が素晴らしくて貴重なのだと大人に気付かせてくれます。子どもの無力さ弱さが、私たちのなかにある最高のものを引き出してくれるのです。地球は、私たち人類の全員の共有のものであり、世界の国々がともに私たちの子どもたちとその子々孫々へと残していくものなのです。私たちは彼らのために地球に優しくしなければなりません。クリスマスだけでなく、一年を通して、私たちが互いに親切で愛情深い関係を築けることを願いながら、皆さまにハッピー・クリスマスをお祈り致します。神の祝福がありますように。」