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7月となり、子どもたちはもうすぐ夏休みに入りますが、2017年に改訂された高等学校の新しい学習指導要領が今年度から実施されており、そのなかで、金融教育に関する内容が拡充されています。高等学校ではこれまで、公民の授業において基本的なお金の仕組みや社会・経済の仕組みについて、また、家庭科でも、基本的な家計の収支管理の考え方や、自立した生活を営むための計画の立て方などについて教えていました。新しい学習指導要領では家庭科のなかで、生活における経済の計画という項目が設けられ、①家計の構造や生活における経済と社会との関わり、家計管理について理解すること、②生涯を見通した生活における経済の管理や計画の重要性について、ライフステージや社会保障制度などと関連づけて考察すること、の2点の狙いが掲げられています。
さて、日本の次代を担っていくのは、そうした教育を受けた子どもたちなのですが、彼らの精神的な幸福や、健康、友人関係など、日本の子どもたちの幸福を巡る状況は、どうなっているのでしょうか。国連児童基金(ユニセフ)は2020年9月、報告書『子どもたちに影響する世界:先進国の子どもの幸福を形づくるものを理解する』を公表しました。ここでは、EUとOECDの加盟国を対象に、新型コロナウイルスの感染拡大前のデータを用いて、子どもの精神的幸福度(生活満足度、青少年期の自殺)、身体的健康(子どもの死亡率、体重過多)、スキル(学力、社会的スキル)についての成績を公開しています。総合成績をみると、トップ3はオランダ、デンマーク、ノルウェーでした。日本は38ヶ国中20位にとどまっています。
個別の項目では、日本は身体的健康でトップとなりました。逆に、順位が低いのは精神的幸福度となっており、下から2番目です。また、スキルのなかの社会的スキルでも下から2番目となっています。この項目は、15歳時点において、学校で友達ができやすいと回答した子どもの割合から算出されたものです。数値が最も高いルーマニアの83%に対し、日本は14ポイント低い69%となっています。学校で友達がつくりにくければ、生活満足度も下がってしまうでしょう。心身の健康という言葉がありますが、日本の場合、身体の健康については申し分ないものの、心の健康については課題があることが読み取れます。
そして、日本でも、様々な理由から、精神的幸福度や身体的健康に大きな課題を抱え、施設などで社会的に養護を受けている子どもがいます。社会的養護は、保護者のない子供や被虐待児といった、家庭環境上、養護を必要とする子ども、生活指導を必要とする子どもに対し、公的な責任として実施する制度です。現在、4万5000人ほどの子どもが社会的養護を受け、その8割の受け入れ先は児童養護施設や乳児院となっています。更に、児童養護施設に入所している子どものうち、6割以上が虐待を経験しているとか。児童虐待防止対策の一層の強化とともに、社会的養護の質・量ともに拡充が必要となっています。
昨年10月になりますが、一般財団法人マリオン財団が設立され、児童養護施設や乳児院への助成事業を開始しました。今年中に公益財団法人への移行を目指しています。