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本日10月21日は「あかりの日」ですが、皆様はご存じだったでしょうか。145年前のこの日(1879年10月21日)、米国の発明家であるトーマス・エジソンが、世界で初めて実用的な電球を開発しました。その発明を記念して、日本電気協会などにより、1981年に制定されています。あかりは日常生活に必要な視覚情報を得るための手段であり、生活文化の原点として古くから人間生活に重要な役割を果たしてきました。1日24時間、人々が活動できるのも、あかりのおかげです。
近年、地球に優しい環境が求められています。生活の快適性、健康維持、交通安全、防犯など照明には多様な役割が求められる一方、省エネルギーにも考慮が必要です。暮らしと省エネルギーの両立を実現するためには、あかりを単に空間を照らすだけの目的で終わらせないよう、環境との調和を追及した、より豊かな生活を考えていかなければなりません。
さて、トーマス・エジソンが初めて開発した電球には、日本の京都産の竹の繊維を炭化させたフィラメントが使用されていましたが、同じく植物を起源とする石炭は、かつては豊富・安価で地政学リスクとも無縁ともてはやされていたにもかかわらず、いまでは二酸化炭素をまき散らす地球沸騰の戦犯扱いになってしまいました。ただ、ロシアによるウクライナ侵略以降、エネルギー安全保障があらためて重視されるなか、脱炭素の奔流と折り合いをつけていく必要があるでしょう。
瀬戸内海に浮かぶ、造船で栄えた広島県の大崎上島(おおさきかみじま)では、現在、石炭火力発電の実証試験がすすめられています。中国電力とJパワーの共同出資会社が取り組んでいるのは、石炭を蒸し焼きし、高温高圧のガスに変えて使う技術の開発です。ガスの圧力、余熱でつくる蒸気で二重に発電できます。石炭ガス化複合発電と呼ばれるもので、二酸化炭素排出量を従来の石炭火力発電よりも15%減らすことが可能です。更に、実証試験が見据えているのはその先で、発電前のガスから二酸化炭素を最大90%分離・回収することを目指しています。石炭ガスから二酸化炭素を取り除けば、残るのは水素です。究極の石炭火力とは、水素火力と同義になります。燃やしても二酸化炭素が出ない水素は完全な脱炭素燃料です。また、水素を海外で安く生産し、極低温で液化して運ぶ供給網の整備には、20兆円規模の投資と10年単位の時間が必要とされています。石炭を使えば、それらも回避できるでしょう。
人口減少で漸減していくとみられていた国内の電力需要は、デジタル技術の普及により、一転して増加する可能性が高くなり、安定供給のハードルは一段と上がっています。ましてや、日本と同様に火力発電への依存が高く、経済成長で需要が伸び盛りのアジア新興国は、石炭との決別は容易ではありません。石炭悪玉論を技術革新で覆し、安定供給と脱炭素の両立の道筋を日本が世界に示していくことが期待されています。脱炭素は弊社でも取り組んでいるところであり、業界は異なりますが、動向を注視して参ります。