2023.10.10社員ブログ

軌道から外れて・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 日本ではあまり知られておりませんが、10月10日は世界メンタルヘルスデー。メンタルヘルス問題に関する世間の意識や関心を高め、偏見をなくし、正しい知識を普及するために定められた国際デーです。WHO(世界保健機関)によると、心が健康な状態というのは、「人が自身の能力を発揮し、日常生活におけるストレスに対処でき、生産的に働くことができ、かつ地域に貢献できるような満たされた状態」と定義されています。人々の生活の質、生産性、更には社会全体の健康と繁栄に大きな影響を及ぼし得ることから、メンタルヘルスの重要性は増しているものの、問題に適切に対処するための資源や対策は依然として不足しているのが実状です。持続可能な開発目標(SDGs)の目標3では、全ての年齢の人々の健康と福祉を確保することを目指しており、メンタルヘルスの改善も含まれています。

 さて、お話は変わりますが、今年6月、国連の持続可能な開発ソリューションネットワークから、『持続可能な開発目標(SDGs)報告2023』が公表されました。この報告書では、193の国連加盟国を、目標達成に向けての進捗状況を測った総合スコア(%)でランクづけしています。上位3カ国はフィンランド(86.76)、スウェーデン(85.98)、デンマーク(85.68)となりました。日本は21位(79.41)です。また、2015年にSDGsが採択されて以来、中間点に当たる本報告書では、これまでの進捗状況や今後の回復、加速への優先度を論じています。

 報告書は、すべての持続可能な開発目標が著しく軌道から外れていると警告しました。2015年から2019年までは目標達成に向けてかなり不十分だったものの、世界はある程度の進捗をみせています。しかし、2020年のパンデミックやその他の危機により、進捗は世界的に失速してしまいました。ほとんどの高所得国では緊急支出や再生計画などによって社会経済的な目標への影響は緩和されていますが、環境や生物多様性の目標では、そうした危機に対して多くの責任がある国でさえ、ごく限られた進捗しかみられません。低所得国や一部の中所得国では、2020年からの同時多発の危機による混乱によって財政面での課題が一層悪化し、目標や指標のなかには逆戻りしているものもあります。報告書には、「SDGsはまだ達成可能だ。世界が軌道から外れているからこそ、SDGsを強化する必要がある。」、「SDGsの達成には長期の方向性をもった変革と世界の協力が不可欠で、世界が現行の投資パターンを変え、投資全体の量を増やすことが第一優先である。」と記載されています。

 米国では来年の大統領選が近づくにつれ、SDGsやESGが政治性を帯びるようになってきました。特に保守層の間で、それらに関連した企業経営や投資判断の手法に対する反発が強まっています。格付け大手は信用評価の参考として算出していたESGに関する定量評価の公表を停止しました。世界最大の運用会社であるブラックロックのラリー・フィンクCEOは、これまで投資先企業の経営トップや株主に宛てて気候変動対策の重要性を説いてきましたが、今年6月のイベントでは、「ESGという用語をもう使うつもりはない。」、「顧客が脱炭素化を望むなら喜んで協力する。ただ、民主党支持の州だろうが共和党支持の州だろうが、資産保有者と協力して長期的な解決策を構築するのが私たちの仕事だ。」と述べています。今後、SDGsやESGを軸とする分断が一段と深まる可能性も否定できませんが、持続可能でよりよい社会の実現のためにはSDGsやESGに無関心でいるわけにはいきませんので、弊社でも日々の事業活動において何ができるのかを考え、実行して参ります。

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