先週のことです。名古屋証券取引所主催の、夕方から始まる交流会に出席のため、昼過ぎの新幹線のぞみに、時間も決めず乗車しようと東京駅に来て、自由席付近で待っていました。
まもなく、折り返し運転の大阪発の新幹線が滑るように、駅構内のアナウンスが雪の為、遅れての到着をお詫びする言葉とともに、入ってきます。すると間髪を容れず、ユニフォーム姿のスタッフが乗り込み手早い清掃に取り掛かっている様子が窓越しに伺えます。
ふっと頭上前方を見れば、名古屋駅~京都駅間は雪のための徐行の表示です。
でも、東京から静岡、そして名古屋までの1時間40分の車窓は青く晴れ、流れる雲の形と言い、富士山の雲を被った姿など眺めているうちに、あっという間に、車内アナウンスです。
「只今、三河安城を定刻通り通過中、あと10分程で名古屋に到着します」
これを合図かのように、乗客は棚の荷物などを、周囲に気を遣いながら下ろし始めます。何も気にせず、物怖じしないで大きな荷物を大きな声を出して、狭い通路に並べだしているのは、日本の方ではなさそうです。
会場は17:00の開演でした。ゲストはアスリート柔道の阿部 詩さんです。講演のお題は「後悔しない道を選ぶより、選んだ道を後悔しないように歩く」と言うものです。
これがなかなか良いお話で、ビジネスにも役立つものでした。
詩選手は5才のとき3つ年上の一二三選手の練習風景に憧れ、柔道を目指すことになったそうです。
兄と同じく東京オリンピック金メダリストで女子52キロ級の阿部 詩選手は、2連覇が期待された去年のパリ大会では、2回戦で残念ながら敗れてメダルを逃しました。
負けず嫌いの詩選手だからか、その時のショックは大きく、畳から降りた後はあふれる涙を止められず崩れ落ちたまま、身動きできなかったそうです。
兄の一二三選手は「妹の分まで戦うと自分に言い聞かせた」と胸に秘めて畳に向かったと言っていたそうです。また「妹が負けて、兄としてそれを表に出したらいけないと苦しかった」とも言っていたようです。
そして、日本に帰国した後も、直ぐには元のような状態には戻れず、悶々とした日々を過ごしたとのことです。そして、兄に促されやっとのこと畳に立つと、不思議に兄を追うように父の反対を押し切ってまで選んだ道だと思い直します。皆さんの期待に応えられなかった自分の弱さと向き合いながら、そんな簡単な道じゃない、厳しい道だけど後悔のないように歩くだけと誓ったのです。
6月の世界選手権出場を目指し、今回の国際大会で全て一本勝ちした事は、自信を少し取り戻したと言っていました。




本日も、小生のブログにアクセス頂きまして、有難うございます
講演を聴いて懇親会の後、帰りの新幹線の中で、アスリートの世界ばかりでなく、経営の世界も「選んだ道を後悔しないように歩く」ことが、いかに難しく肝心なんだとつくづくと思いました。
トランプ大統領になってまだ1ヶ月と少しと言うのに、世界中では大きく価値観が変わり、また変わろうとしているように思います。
アメリカファーストを唱えるトランプ大統領のお膝元ですら、景況感が大幅に低下して、米景気指標が想定以上に悪化し、リスク回避の株売りが広がり、市場を揺らしています。
日本株式市場も冴えません。丁度1年程前の2月22日にバブル経済期の1989年末につけた日経平均の最高値38,915円を上回りましたが、現在はその水準すら下回っています。
東京証券取引場はPBR(株価純資産倍率)1倍以上を推奨しています。その1倍超え企業数も1年前に比べて減少しているのです。
その背景には原因がいろいろあろうかと思いますが、世界の金利動向と日本のそれとは逆向きで、欧米が利下げ局面にある中で、日本では利上げに向かっています。実際にこの逆風を打ち返すだけの、成長戦略が画けていないことが、海外投資家を遠ざけているのだと言われています。
なにせ、日本株売買代金の70%弱を占めているのは海外マネーなのに、その海外マネーが逃避しているのです。あのウォーレン・バフェットさんが来日して日本株が大きく買われた2023年初めと比較して2024年7月までは約9兆円の買越であったのに、それから一気に売り越しに転じて現在は1兆円を切る水準にまで縮小しているのです。
「選んだ道を後悔しないよう歩く」ことは言われてみれば本意です。幸い、当社には「秘めたる成長戦略」もあることですし、後悔ないよう、畳の上で励む詩選手のように厳しい道だけど後悔のないように歩まなければと思っているところへ車内アナウンスです。
「只今、小田原を定刻通り通過中、次は新横浜に停まります」

本日のボンドランチ
選んだLunchです。
期待した味ではありませんが、後悔しないでしっかり完食