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3ヵ月ほど前になりますが、8月中旬、米国モンタナ州の地方裁判所は、クリーンで健康的な環境を約束し、すべての州民に享受する権利があると定める州憲法に、モンタナ州のある法律が違反している、という若者活動家たちの主張を認めました。モンタナ州の環境政策法は、州当局が環境評価で温室効果ガスの排出や気候変動の影響を考慮することを事実上禁止しており、化石燃料の採掘と燃焼を優遇するような法律になっています。5~22歳の16名の若い気候活動家たちは、干ばつ・熱・火災・煙・洪水が大気や水、野生生物、公有地に悪影響を及ぼしている現状を踏まえ、クリーンで健康的な環境と個人の尊厳、法の平等の保護に関わる憲法上の権利を守るよう訴えました。裁判所はその訴えを認め、温室効果ガスの排出を増加させて気候変動に影響を及ぼし、若者の権利を侵害している州法は違憲であると判断しています。
これは若者が気候変動訴訟で州憲法上の権利をめぐって勝訴した初めての判決になりました。原告の代理人を務める弁護士は、「欧米で化石燃料の汚染がもたらす森林火災が猛威を振るうなか、モンタナ州の判決は、人間起因の気候カオスによる破壊的な影響から地球を救う、という若者世代の取り組みに転換点をつくり出すきっかけになる。」と語っています。
米国ではユタ州やバージニア州、ハワイ州でも若者活動家による気候変動訴訟が進行中です。
日本の昭和の頃の子どもたちは、家族や家の近くの人たち、入学後はクラスが社会であり、世界でした。年齢を重ねるにつれ、社会は広がっていき、実際の世界に近づいていった気がします。それでも、海外の国々やそこに住んでいる人々の様子、自然界の様子は、テレビでみる自分とのつながりを感じられない、遠い世界でした。しかし、今の子どもたちは、生まれたときから、地球温暖化や各国で起こっている地域紛争といった世界のなかで成長してます。昔だったら、世界情勢に関わることを子どもがしゃべると、大人びている、背伸びしている、などといわれたものですが、もはや世界情勢や地球環境そのものが現実なのでしょう。
こうした状況下、欧米の石油、ガス大手が環境ビジネスに力を入れはじめています。各社の取り組みで目立つのは、二酸化炭素を回収し貯蔵するビジネス(CCS=Carbon dioxide Capture and Storage)です。企業の財務などへの貢献度は未知数といわざるを得ませんが、収益の柱になるとの期待も高まっています。
著名投資家ウォーレン・バフェット氏が株式を買い増したことでも知られる米国のオキシデンタル石油は、環境への積極的な取り組みでも注目されており、CCSのなかでも、特に二酸化炭素を大気中から直接回収するDAC(Direct Air Capture)で業界をリードしています。米国のエネルギー省は今年8月、商業規模のDACをすすめるため、2件のプロジェクトについて最大12億ドル拠出すると発表しました。そのうちのひとつが、オキシデンタル石油の子会社などがテキサス州で進行中のプロジェクトです。地中に二酸化炭素を貯留する施設をつくり、年間最大100万トンの二酸化炭素を除去する計画となっています。エネルギー省の発表では、プロジェクトが完成すると、2件合計で大気中から年間200万トン以上の二酸化炭素を除去することが期待され、これは44万5000台のガソリン車による年間排出量に相当するそうです。また、米国石油最大手のエクソンモービルもCCS事業で攻勢をかけています。今年6月、米国電炉大手ニューコアと、ルイジアナ州の拠点から年間最大80万トンの二酸化炭素を回収、貯蔵する事業で合意しました。今年に入り、産業ガス会社のリンデ、農業用肥料メーカーのCFインダストリーズと立て続けにCCSに関連する契約をしています。エクソンモービルが合意した二酸化炭素貯蔵の総量は年間500万トンに達し、200万台のガソリン車を電気自動車に置き換える分に相当するそうです。
さて、二酸化炭素排出量の削減は、弊社が身を置く不動産業界でも決して例外ではありません。前述の米国2社とは比べものにならないほど少ない削減量にはなりますが、弊社でも所有・管理する不動産での対応をすすめて参ります。