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9月に入り、子どもたちも学校に通いはじめていますが、ちょうど34年前(1990年9月2日)、児童(18歳未満)の権利について定める国際条約である、児童の権利に関する条約が発効しました。日本は1994年に批准しています。世界中の子どもたちが、安全な環境のもと、安心して自分に自信をもちながら生活できるよう、守られるべき権利について定めた世界の合意です。批准国の政府に、その実施を求める法的拘束力のある国際法となります。
子どもは未来へつながっていく存在です。国連の持続可能な開発目標(SDGs)からこの条約をみると、貧困をなくそう、飢餓をゼロに、すべての人に健康と福祉を、質の高い教育をみんなに、人や国の不平等をなくそう、平和と公正をすべての人に、など、この条約の目指しているものと重なるところがあります。すべての子どもが差別なく、飢餓や貧困のない平和な社会で健康に育ち、社会保障や質の高い教育を受けることができれば、命を次の世代につなぎ、持続可能な社会の実現に近づくでしょう。
さて、今年6月、国連の提唱で設立された、持続可能な開発ソリューション・ネットワーク(SDSN)は、世界各国のSDGsの達成度を評価する、2024年版の持続可能な開発報告書を公表しました。目標のすべてが達成の軌道にのっておらず、ターゲットのわずか16%でのみ進捗があるとしています。国によって達成状況に大きなばらつきがあるとも指摘しました。SDGsは国連が2015年に採択したものです。貧困の撲滅、質の高い教育、ジェンダー平等、気候変動対策といった17の目標と169のターゲットを掲げ、2030年をその達成の期限と定めています。SDGsの取り組みは2020年からの新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で停滞し、ロシアのウクライナ侵攻や気候変動の影響で、その後も進捗ペースは鈍いままです。
日本は各国別のSDGs達成度ランキングにおいて、世界167カ国のなかで18位でした。昨年の21位から順位を上げ、低落傾向に歯止めをかけています。46位の米国や68位の中国を大きく上回り、アジアでは33位の韓国を引き離して首位になりました。ただ、持続可能性への取り組みで先行する欧州勢との差は埋まっていません。欧州の主要国はドイツが4位、フランスが5位、英国が9位と着実に順位を上げています。SDGs達成度のトップ3は今年もフィンランド、スウェーデン、デンマークの北欧3カ国が独占しました。
世界的にSDGsへの取り組みが停滞するなか、報告書が危機感を示したのが食料供給と土地利用のあり方です。今なお6億人が飢餓に苦しんでいるのに肥満が増加している、と指摘し、更に、現在の傾向が続けば、食料安全保障や気候変動の緩和、生物多様性、水質の保全に関わるSDGsの達成において各国間の格差が拡大する、と警鐘を鳴らしました。農業・食料システムと気候変動の因果関係にもふれています。農業は気候変動で最も深刻な影響を受ける分野であると同時に、産業や運輸と並ぶ温暖化ガスの排出源です。南米やアフリカで問題になっている森林破壊の約80%は農地開発が目的とされています。報告書は、農林業やその他の土地利用から排出される温暖化ガスは世界全体の排出量の約4分の1を占めているとして、農業・食料システムを組み込んだ気候変動対策の重要性を訴えました。
2030年を達成期限とするSDGsは今年から後半戦に入っています。学校の教科書でもSDGsが取り上げられている日本は、若い世代を中心に、国際的にみても消費者の意識は高く、将来、SDGsで世界をけん引する存在になれるかもしれません。企業として弊社では何ができるのかをよく考え、実行して参りたいと考えています。