2025.01.20社員ブログ

CAT債・・・・

 本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

 昨年1月1日の能登半島地震から1年、1995年1月17日の阪神・淡路大震災から30年が経過しました。あらためて、犠牲となられた方々のご冥福をお祈り致しますとともに、ご遺族の皆様方に心よりお悔やみを申し上げます。記憶の風化を防ぐのみならず、その経験と教訓を次世代に広く発信し、大災害への備えや防災・減災対策の充実を図っていかなければなりません。

 昨年7月末、ドイツのミュンヘン再保険会社は、「2024年上半期の自然災害に関する報告書」を公表しました。昨年の上半期、世界全体の経済損失額は1200億ドル、保険損害額は600億ドルで、いずれも10年間および30年間の長期平均値を大きく上回っています。経済損失額の68%、保険損害額の76%が雷雨・洪水・森林火災といった自然災害によるものです。

 最も損失が大きかった自然災害は、昨年1月1日に能登半島を襲ったマグニチュード7.5の地震で、全体の推定経済損失額は約100億ドル、保険損害額は約20億ドルでした。また、米国の上半期の損害統計に大きな影響を与えたのは激しい雷雨で、雷雨の経済損失額450億ドルは過去4番目に大きな金額になっています。

 昨年1月から6月までの世界の平均気温は産業革命前より約1.5℃上昇し、世界のほぼ全域で異常に高く、世界各地で最高気温が更新されました。熱波や干ばつは熱中症による死者の増大だけではなく、森林火災の可能性も高めています。海面水温も、過去30年の平均を0.5℃から1.0℃上回る記録的な高温が続く見込みです。ハリケーンの発生を抑制するといわれているエルニーニョ現象が期待できなければ、今年もより多くのハリケーンが北大西洋で発生する可能性があります。同社取締役のトーマス・ブルンク氏は、「気候変動に伴うリスク変化には社会、経済、保険業界などすべてが適応する必要があり、それによって気象災害による損害の拡大が軽減される。」と述べています。

 世界各国では大規模自然災害の発生頻度が増え、その被害の大きさも拡大の傾向が続いていますが、こうしたなか、昨年、東京海上ホールディングスと全国共済農業協同組合連合会は、どちらも日本での巨大地震を対象としたCAT債(Catastrophe Bond)を発行しました。CAT債とは、一般的な債券よりも高い金利が支払われる代わりに、特定の自然災害が発生した場合には、投資家に戻ってくる償還元本が減少する債券です。発行体は一般的な債券よりも高い金利を投資家に支払わなければなりませんが、自然災害で一定規模以上の損害が発生した場合には、その損害規模に応じた金額を投資家の元本から減額することができます。その減額された資金で充当するものが、被保険者へ支払う保険金です。

 さて、この両社のCAT債は、開発途上国の支援に貢献するという機能ももち合わせています。日本で巨大地震が発生しない限りにおいては、投資家から集めた資金を世界銀行の発行する債券(集めた資金は開発途上国の支援などに利用)に投資し続けることで、SDGsの達成を後押しする、持続可能な世界のための投資も同時に実現することが可能です。弊社のi-Bondにも、今後、新たな機能をつけ加えていくことで、より社会から評価される商品になっていければと思っています。

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