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早いもので3月に入りました。桃の節句を迎えています。お子様やお孫様のお祝いをなされるご家庭も少なくないでしょう。また、受験シーズンでもあり、まだ試験が残っている、結果待ち、合格済みなど、様々な状況に違いありません。
近年、学生時代から金融や経済を学ぶ環境が整いつつあります。学習指導要領の改訂に伴い、中学校、高等学校の家庭科、社会・公民科を中心に、金融や経済に関する内容が拡充されました。従前より、高等学校の家庭科ではライフプランや家計管理、消費者教育の内容が含まれていましたが、今回の改訂で、ファイナンシャル・ウェルビーイング(自らの経済状況を管理し、必要な選択をすることにより、現在及び将来にわたって、経済的な観点から各人が多様な幸せを実現し、安心感を得られる状態)の向上に必要な知識を幅広く学べるようになったといえるでしょう。昨年4月に設立された金融経済教育推進機構も、小学校低学年から大学生まで、各年齢に応じた学習教材を提供しています。
環境整備がなされ、今後、教育の進展が期待されているところですが、一方で、学生時代の学びをファイナンシャル・ウェルビーイングの向上につなげていくための課題もみえてきました。例えば、学校では金融について学ぶ時間が必ずしも十分ではないことです。金融や経済以外にも学ばなければならない科目・内容もあり、授業時間は当然ながら限られています。学習指導要領の改訂によって中身は充実したものの、その全てを理解し、自分ごとにする時間が確保できているとはいえません。
また、金融・経済教育は、ともすれば投資推奨教育に偏きがちです。ファイナンシャル・ウェルビーイングの向上のためには、人生で実現したいことを明確にしたうえで、それを達成してく必要があります。投資はひとつの手段にすぎず、それさえすれば万事解決というわけではありません。金融・経済教育の土台には、将来、どのようなことを実現したいのかというライフプランが不可欠であり、それに必要となる資産(ヒト・モノ・カネ)を考え、投資に限らず、様々なことに取り組んでいくことが望まれます。
更に、学ぶことは継続していかなければなりません。扶養家族として生活していると、お金を稼ぐことや家計を管理する経験が乏しく、実感がわかない学習内容もあるでしょう。そうした点も踏まえ、学生時代の授業は金融・経済教育の入り口だと認識し、継続して学んでいく習慣を身につける必要があります。
今世紀における金融・経済教育の変遷を振り返ってみると、2008年のリーマン・ショックによって家計の脆弱性が明らかになったことは大きな転換点になりました。各国で家計のレジリエンス(困難をしなやかに乗り越えて回復する力)を高める観点で金融リテラシー(理解して活用する能力)の重要性があらためて認識されています。経済協力開発機構(OECD)は金融・経済教育に関する情報共有・分析を目的として国際ネットワークを2008年に設立しました。2012年、個人のファイナンシャル・ウェルビーイングを向上させるために必要な知識、態度、行動の総体が金融リテラシーであると定義し、金融・経済教育の指針として作成したハイレベル原則は同年のG20ロスカボス・サミットで承認されています。弊社でできることは限られていますが、不動産証券化商品を既に20年以上取り扱っており、家計の金融リテラシー、ファイナンシャル・ウェルビーイングの向上に、何らかの形で関与していければと考えています。