お金をめぐる新たな世界…「i-Bond」のキホンとは?
預貯金でもなく、投資でもない、その中間に位置する「第3 お金の置き場」として開発されたのが「i-Bond(アイボンド)」です。預貯金より高い利率の分配金や投資より低いリスクなど、お金の運用の未経験者、初心者でも安心して利用できる商品です。本記事では、「i-Bond」をはじめて知る方に、その基本的な内容や魅力などについて紹介していきます。
銀行預金でお金を増やすことが難しい時代に…
30年ほど前は、銀行の定期預金にお金を置いておくだけで、お金を増やすことができました。平成がスタートしてまもない1991年(平成3年)に、銀行の定期預金(1年)金利は6%を超えており、普通預金金利でさえ2%を上回っていたのです。
ところが、バブル崩壊後の日本経済の長期デフレ化を背景に、1991年をピークとして、以後預金金利は一貫して下がり続けました。ピークから10年後の2001年には0.168%、20年後の2011年には0.056%まで定期預金金利が下落。そして現在(2019年第3四半期)は、0.026%(日本銀行と取引のある国内銀行の定期預金(1年)金利の平均)となっています。
1991年 | 6.08% |
1996年 | 0.504% |
2001年 | 0.168% |
2006年 | 0.137% |
2011年 | 0.056% |
2016年 | 0.039% |
2019年 | 0.026% |
※1 日本銀行と取引のある国内銀行の定期預金(1年)金利の平均。日本銀行「(参考)銀行預金金利(1994年10月3日まで)」および「日本銀行の金融経済統計月報」のデータを基に作成。
また、普通預金金利は、2016年以降は0.001%に張りついたまま、まったく動く気配はありません。
なお、100万円のお金を、現在の金利水準で1年間預けた場合、定期預金の金利は260円になります。普通預金の金利にいたっては10円です(そこから源泉税が20.315%引かれて、手取りはさらに下がります…)。さらに、ATMの引き出し手数料によって、僅かな金利も台無しです。
結論として、現在の銀行に、「増やす」という目的を期待して、お金を預けることはできません。
今までになかったお金の新しい置き場「i-Bond」とは何か
では、値上がりが期待できる金融商品(株式、投資信託、FXなど)に投資をするのはどうでしょう。
投資は、値上がりに期待がもてる反面、常に値下がりのリスクも同様にあります。さらに、着実に利益を得るためには、多くの銘柄の中から投資対象を分析し選択することが求められ、また、売買のタイミングを見極めるための勉強も不可欠であり、だれでも簡単に利益を得ることができるものではありません。
定期預金でお金を増やすことはできない。かといって、投資には常に値下がりリスクや利益を得る難しさがある。前者をお金の「第1の置き場」、後者を「第2の置き場」とすると、その2つの置き場だけでは、今後、お金の置き場に不安を持つ人たちの多様なニーズに応えることができないのは明らかです。
預金と投資の中間に位置し、どちらのメリットも得られるような、今までになかった新しいお金の置き場はないのか?
そんなニーズや疑問に応えるために、株式会社マリオンによって開発されたのが、「お金 第3の置き場」=「i-Bond」なのです。
「i-Bond」は簡単に説明すると、「不動産賃貸(売買)事業」をベースとした商品です。
なじみのない読者の方もいると思いますので、不動産賃貸事業の特性について、簡単に説明しましょう。
一般的には、不動産賃貸の中でも居住用マンション(共同住宅)は、物件・エリア選定等を誤らなければ、安定した家賃収入が得られる手堅い事業といわれています。特に一棟マンションの運用は、入居者が一斉に退去することは考えられにくいため、収入の安定性がより強固なものとなります(ワンルームマンション1戸の場合は、その点でやや劣ります)。また、「現物資産」であることから、エリア(利便性)、物件(収益性)、住環境(安全性)等によって、資産価値は落ちにくく、総じて、安定性が高いといえるのが「不動産賃貸事業」なのです。
一方で、不動産賃貸事業には、多額の初期投資資金が必要です。安定した家賃収入が期待できる好立地の一棟マンションなら、数億円の投資金額となります。また、現金が必要なときに、すぐに物件を売却して換金ができないなど流動性も低いため、個人が手軽に取り組める事業ではありません。
「i-Bond」は、その不動産賃貸事業のメリットを活かしつつ、「不動産特定共同事業法」に基づいた「不動産クラウドファンディング」により、誰でも簡単で手軽に参加できる商品なのです。
安定した不動産賃貸事業がベースとなる「i-Bond」の仕組み
さらに、「i-Bond」の基本となる、不動産特定共同事業法にもとづいた「不動産クラウドファンディング」について簡単に説明しましょう。
1口1万円(販売当初価格)からはじめられるi-Bondは、インターネット(WEB)上で契約を締結し、出資することで、これまで個人では難しいとされてきた一棟マンションをi-Bondが取得します。なお、取得した一棟マンションの賃貸収入から得た利益を投資家に分配する仕組みとなっております。
さらに、一棟マンションの運用は事業者である株式会社マリオンが運営することで、投資家はより簡単に、より手軽にはじめることができます。
「i-Bond」が「お金 第3の置き場」となる理由
今回は、安定した不動産賃貸事業をベースとした「i-Bond」の仕組みについて簡単に解説しました。では、なぜ今後「i-Bond」が「お金 第3の置き場」となりうるのか。そのポイントを以下にまとめてみました。
- 予定分配率が年1.50%(税引前)と、普通預金金利と比べて約1500倍
- 優先劣後方式により、株式会社マリオンが自ら出資(劣後出資)するため、運用の損失が劣後出資の範囲内の損失分(5%)であれば、投資家を保全する仕組み
- 1口1万円からと少額から出資でき、申込や換金(買取)の手続きも簡単
- 期間は無期限で、仮に現金が必要になった場合は、いつでも換金が可能(買取請求により現金化は5営業日後)
- 申込手数料、換金(買取)手数料などが一切不要
次回以降、これらお金の自由度を高める「i-Bond」の魅力、メリット、デメリット、運用方法などを具体的に解説してきます。
【次回連載記事】預貯金と投資の間に…「お金 第3の置き場」って何だろう?
取材・文/椎原よしき(ファイナンシャル・プランナー(AFP)、金融ライター)
※2 本データについては、整理回収機構(1999年3月以前は整理回収銀行)、紀伊預金管理銀行(2002年3月31日付で解散)、 日本承継銀行(2004年3月8日付で解散)、第二日本承継銀行(2011年12月26日付で事業譲渡)、ゆうちょ銀行、規制金利定期預金を除く。