本日も弊社ホームページをご覧いただきまして誠に有り難うございます。
新年度に入りました。入学、就職、転勤、転職などにより、
新しい環境での生活が既にはじまっている方も
たくさんいらっしゃることでしょう。望んだ通りになったのか、
あるいはそうではないのか、人によって様々ではありますが、
できることならば、置かれた状況のなか、前向きな気持ちを
もって物事に取り組んでいきたいところです。
こちらは望む、望まないにかかわらず、
入社前にその内容はほぼ決まっています。
企業の退職給付(一時金・年金)制度です。
昨年10月に公表された「平成30年就労条件総合調査」によれば、
制度がある企業の割合は80.5%となりました。
それらの企業について制度の形態別の割合をみると、
一時金制度のみ73.3%、年金制度のみ8.6%、両制度併用18.1%です。
一般的に中小企業は一時金のみの場合が多く、大企業になるほど年金採用割合が高まります。
確定拠出年金や確定給付企業年金を採用することは、
退職時の支給額を事前準備する重要な取り組みのひとつではあるものの、
中小企業への普及のためには、乗り越えなければならない課題が少なくありません。
ここで、1969年4月に厚生年金基金を導入し、
今月で企業年金制度設立から半世紀となるイオン株式会社の事例を紹介します。
散策すると半日はかかりそうな大規模ショッピングモール「イオン」、
首都圏を中心にリーズナブルな食品を販売する小規模店舗「まいばすけっと」、
「オリジン弁当」、「ミニストップ」といったイオングループの店舗は、
いまや日常生活に密着した存在といっても過言ではありません。
また、「イオン銀行」、電子マネー「WAON」など金融事業でも頭角を現し、
更には、グループ主要企業の税引き前利益1%相当額を拠出して社会貢献にあてる
「イオン1%クラブ」を通じた青少年育成、1000万本の植樹、廃棄物ゼロ、
女性管理職50%、障害者雇用1万人といった課題に挑戦中です。
現在のイオンの退職給付制度の概要は確定拠出年金(DC)6割、
確定給付企業年金(DB)4割となっています。
DCの採用は、確定拠出年金法が施行(2001年10月)されて
からおよそ2年後の2003年11月です。
リーマンショック後も、その後の回復もみてきた同社のDCは、
今では資産額1100億円を超え、DBの900憶円を大きく上回っています。
日本では65歳までの雇用が義務づけられているものの、
多くの企業では定年年齢を60歳とし、その後は継続雇用(再雇用)と
するのが一般的です。定年延長の傾向がすすんでいるとはいえ、
直近の厚生労働省の調査では、65歳定年の企業は2割に満たず、
大企業に至っては1割未満となっています。
しかし、同社は2007年2月から65歳定年を採用しました。
これは、50歳代の優秀な人材の確保が狙いであり、
退職金の加算についても65歳まで継続しています。
先駆的な取り組みにためらわない同社は、企業年金の運用においても、
従業員の資産形成により配慮した商品構成に努めているようです。
本業での同社の競争力の強さはよく知られていますが、
その源泉は従業員の満足度向上にあり、会社の人事制度に対する姿勢が
顕在化しているものなのかもしれません。弊社でも他社の優良事例を
参考にしながら、企業価値向上につながる施策の実施に努めて参ります。