2020.04.13社員ブログ

みたこともない青空が

本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

「中国ではいま、みたこともない青空が広がるようになった。」

新型コロナウイルスの影響で経済活動が縮小しているため、二酸化炭素の排出量が減っているとか。感染拡大に伴い、各国が非常事態宣言を出していますが、日本はより深刻な状況になっている他国と比べると、感染者数、死亡者数も少ないため、他人には伝えないものの、自分は大丈夫、と心の中で思っている人も少なくないでしょう。とはいえ、爆発的な感染の広がりも否定できず、予断を許さない状況であることはいうまでもありません。誰もが高い可能性で感染者になり得る、というメンタルモデルに切りかえていくことができるかどうかが、今後の展開にあたって大きな鍵を握っています。

100年ほど前の、まだ航空機が一般的ではなく、海をわたる手段が船舶であった時代、新型ウイルスによるパンデミックが発生しました。1918年の春に米国で発生したスペイン風邪は、わずか数ヶ月で地球をひと回りし、1920年に鎮静化するまで、当時の世界人口の3割となる5億人を感染させ、死者は少なくとも3000万人以上に及んだとか。日本では流行性感冒と呼ばれ、1918年4月頃、日本統治下の台湾からもち込まれたようです。横須賀、横浜から全国へと広がり、当時の総人口約5600万人のうち、少なくとも25万人以上の国民が亡くなったとされています。

この時期、歌人である与謝野晶子は、実に11人を子育て中でした。パンデミックの経験に基づいて、『死の恐怖』と題する随筆を横浜のある新聞社に寄せており、少し長くなりますが、その一部をご紹介します。

「私は死を怖れて居るに違いありませんが、固体の私の滅亡が惜しいからでは無く、私の死に由って起る子供の不幸を予想することの為めに、出来る限り生きて居たいと云う欲望の前で死を拒んで居るのです。絶対の世界に於て死は少しも怖るべき理由がありません。生の欲望と相対して初めて死が怖ろしくなります。死を怖れるのも『如何に生くべきか』を目的として居るからです。生の欲望を放棄するならば其処には絶対の安静な世界が現われて来るでしょう。絶対の死は恐れるに足らない。唯だ相対の死を恐れるのです。私は今、この生命の不安な流行病の時節に、何よりも人事を尽して天命を待とうと思います。『人事を尽す』ことが人生の目的でなければなりません。例えば、流行感冒に対するあらゆる予防と抵抗とを尽さないで、むざむざと病毒に感染して死の手に攫取されるような事は、魯鈍とも、怠惰とも、卑怯とも、云いようのない遺憾な事だと思います。予防と治療とに人為の可能を用いないで流行感冒に暗殺的の死を強制されてはなりません。今は死が私達を包囲して居ます。東京と横浜とだけでも日毎に四百人の死者を出して居ます。明日は私達がその不幸な番に当るかも知れませんが、私達は飽迄も『生』の旗を押立てながら、この不自然な死に対して自己を衛ることに聰明でありたいと思います。世間には予防注射をしないと云う人達を多数に見受けますが、私はその人達の生命の粗略な待遇に戦慄します。自己の生命を軽んじるほど野蛮な生活はありません。私は家族と共に幾回も予防注射を実行し、其外常に含嗽薬用い、また子供達の或者には学校を休ませる等、私達の境遇で出来るだけの方法を試みて居ます。こうした上で病気に罹って死ぬならば、幾分其れまでの運命と諦めることが出来るでしょう。幸いに私の宅では、まだ今日まで一人の患者も出して居ませんが、明日にも私自身を初め誰がどうなるかも解りません。死に対する人間の弱さが今更の如くに思われます。人間の威張り得るのは『生』の世界に於てだけの事です。私は近年の産褥に於て死を怖れた時も、今日の流行感冒に就ても、自分一個のためと云うよりは、子供達の扶養のために余計に生の欲望が深まって居ることを実感して、人間は親となると否とで生の愛執の密度または色合に相異のある事を思わずに居られません。人間の愛が自己と云う個体の愛に止まって居る間は、単純で且つ幾分か無責任を免れませんが、子孫の愛より引いて全人類の愛に及ぶので、愛が複雑になると共に社会連帯の責任を生じて来るのだと思います。感冒の流行期が早く過ぎて、各人が昨今のような肉体の不安無しに思想し労働し得ることを祈ります。」

不動産はウイルスに感染せず、弊社の主な所有物件は、主に居住者様との長期契約がなされた賃貸マンションですから、いまのところ会社の業績に大きな影響はございません。業界の慣習や思い込みによるメンタルモデルにとらわれることなく、これからも会社の成長・発展に尽力して参ります。

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