本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。
間もなく二十四節気の小満(今年は5月20日)。江戸時代の暦の解説書である暦便覧には、「万物盈満(えいまん)すれば草木枝葉繁る」と記されています。秋に蒔いた麦などに穂がつき、ほっと一安心(少し満足)する季節です。田畑を耕して生活費を稼いでいた時代には、農作物の収穫の有無は、生死にかかわる一大事であったに違いありません。
こちらはいつになったら一安心できるのでしょうか。新型コロナウイルスの影響が世界的に続いています。今回の事態であらためてよくわかったのは、現代の世界がいかにつながり合っているのか、ということです。
昨年、中国の武漢で誰かが病気になり、現在、米国のシェールオイル産業は崖っぷちに立たされています。ここにはどういったつながりがあるのでしょうか。今年に入ってから、中国で新型コロナウイルス感染症が爆発的に広がり、大規模な隔離措置の実施を余儀なくされました。何億もの人々が自宅待機となり、企業活動が抑えられた結果、中国の石油需要が落ち込んでいます。3月初旬、サウジアラビアは原油価格の急落を避けようと、石油輸出国機構(OPEC)の加盟各国とロシアに対して原油の減産を要請するものの、ロシアがこれを拒否したため、サウジアラビアは大幅な原油の増産と販売価格の値下げに踏み切りました。その結果、世界の原油価格は大幅に下落しています。
一方で、価格競争によって最も痛手を被ったのは米国です。世界最大の産油国として、近年、産油量は著しく増加していますが、それはほぼすべて、フラッキング(水圧破砕法)と呼ばれる手法で採掘されたシェールオイルとなっています。フラッキングには費用がかさみ、原油価格が高値をつけていたときでさえ、利益を得るのに苦労していました。原油価格がまた下落する事態になれば、たとえ優良な鉱区を所有して効率よくフラッキングをおこなっている企業であっても、もはやステークホルダーを満足させることはできません。米国政府による更なる特別な救済措置がなされなければ、経営に行き詰まる石油採掘業者は増加していくでしょう。
また、現下、各国の政府指導者や中央銀行の総裁ら金融界の指導者は、深刻な経済恐慌に転じないようにするための施策を見出そうとはしているものの、本来、パンデミックは金融の問題ではありません。例えば、国民にいくばくかの現金給付をおこなえば、生活必需品の購入に充当されるかもしれませんが、すぐさま旅館や航空機の予約につながるものではないので、それで経済恐慌を防いだり、パンデミックを収束させることはできないでしょう。
いうまでもなく、いま最も必要な対応は、人との接触を減らすこと、それができない場合でも社会的距離(ソーシャル・ディスタンス)を保つことです。ただ、そういった制約があっても、自身の属するコミュニティとのつながりは確保していかなければなりません。パンデミックはいずれ収束します。それまでの間、コミュニティをいかに健全でレジリエンス(外的な衝撃を受けても折れることなく、元の姿に戻れる能力)のある状態に保っていくのかが課題となるでしょう。弊社の従業員もそれぞれがその意識を強くもち、日々の対応にあたって参ります。