6月に入り、関東地方もそろそろ梅雨入りでしょうか。
これから鬱陶しい季節になりますが、梅雨が明ければ夏本番を迎えます。
夏といえば海、という方もたくさんいらっしゃるに違いありません。
皆様は今年、どちらの海水浴場に出かけられるのでしょうか。
今年2月、英国のニュー・エコノミクス財団は、
欧州の漁業の実態を調査した報告書を発表しました。毎年、農林水産大臣など
各国の漁業部門の閣僚によって、国ごとの商業用漁業資源の漁獲可能量が決められます。
漁獲量に関しては、国際海洋開発理事会を中心とした科学機関が漁業資源の状況について
情報提供し、最大漁獲量の水準を提案しています。しかし、交渉が非公開であることから、
こうした科学的助言は無視され乱獲が続いている状況です。
同報告書が2001年から2018年における、EUの海域について合意された
漁獲可能量を分析したところ、平均して3分の2が科学的助言に基づく水準を
上回って設定されていたことがわかりました。
今年の漁獲可能量については、55ヶ国の漁獲可能量が助言を上回って
設定されており、超過分の総量は31.2万トンに上ることが明らかになっています。
北東大西洋諸国のなかで、漁獲可能量が科学的助言を超過している割合が
高い上位3ヶ国はスウェーデン、英国、アイルランドです。超過している総量では
英国、デンマーク、アイルランドが上位3ヶ国を占め、こうした国々にはEUの
持続可能な漁業への移行を妨げている責任があるといえるのではないでしょうか。
四方を海に囲まれた地理的条件を背景に、日本も古くから海の恵みである水産物を
摂取し、時代の変化の影響を受けながら、水産業を発展させてきました。
中世期以降、世界で様々な技術革新がすすみ、水産業においても、
明治期に先進的な外国の技術を取り入れるとともに、その後、
国内の様々な技術を導入しています。
第2次世界大戦後の経済復興を目指すなかで、国内の漁業者は、
より遠方の漁場へ進出し、世界有数の漁業国に発展しました。
しかしながら、その後、いわゆる200海里時代の到来による遠洋漁業の縮小や
資源の変動による漁獲量の減少など、日本の水産業は厳しい状況に直面しています。
こうした情勢下、水産物を国民に安定的に供給するため、
様々な技術が様々な場で、水産業に適用するための創意工夫を
伴って活用されてきました。
直接みることができない魚をどこで獲るのかという判断は、
かつては専ら漁師の勘と経験によるものでした。海の状況を把握することによって
漁業の効率化を図るという考え方は100年以上前からあり、従来から
海洋観測を続けてきましたが、通信機器の技術が発展し、海中にセンサーを
入 れて水温を把握したり、人工衛星が取得する情報を利用して海洋の状況を
リアルタイムで把握したり、更には、その予測をする技術がすすんで海洋の
状況をより的確に把握することができるようになっています。
また、魚群探知機の開発を含め、魚がどこにいるのか、あるいは海洋の状況から
魚がいる場所をいかにして推測するのかといった技術開発が次第にすすんできました。
インターネットやコンピューターが普及した近年はIoTやAIを活用して、
例えば、現在の海洋情報と過去の漁場・漁獲データとを組み合わせ、
魚のいる海域や漁獲量を予測するといった技術の開発もはじまっているとか。
いわば、海を把握する技術の開発がより進展していくものと考えられています。
従来から漁師が培ってきた漁業現場での勘と経験に、このような技術が加われば、
従来にも増して効率的な操業が可能になっていくのではないでしょうか。
さて、現場での勘と経験のみならず、そこにIoTやAIといった技術が付加されていけば、
弊社が身を置いている不動産業界であっても、これまで以上に効率的な事業展開を
図れることはいうまでもありません。上場企業として相応しい対応を心がけ、
ステークホルダーの皆様の期待に応えられるよう、努めて参ります。