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早いもので8月も今日で終わりです。明日は防災の日となりますが、1923年9月1日に発生した関東大震災にちなんでいることはいうまでもありません。これからも様々な地震の発生が予想されている日本ですが、特に首都直下地震と南海トラフ巨大地震のリスクに直面しています。政府による直近の首都直下地震の被害想定では、最大震度7で、建物の倒壊と火災によって首都圏全体で最大2万3000人が死亡し、経済被害は国の年間予算に匹敵する約95兆円におよぶ見通しです。
帰宅困難者は800万人に上り、受け入れ先の確保が大きな課題となっています。南海トラフ巨大地震の発生も今後30年で70~80%の確率を見込んでおり、震度6弱~7の揺れが東海から九州までを襲い、東日本大震災を上回る被害が出る可能性も否定できません。政府の直近の被害想定によれば、死者は最大32万人、経済被害は220兆円超に膨らんでいます。家庭や個人でできるリスク対策には限りがあるものの、備えを怠ってはなりません。
毎年、世界の有識者に世界的なリスクについて尋ねた結果を、ダボス会議にあわせて世界経済フォーラムが発表する「グローバル・リスク報告書」が今年1月に公表されました。2020年版で15回目になるものですが、経済、地政学、環境、社会、テクノロジーの5分野でリスクを洗い出し、順位付けをしている世界中が注目する報告書です。近年の日本では水害が頻発し、それほど大きく取り上げられることもありませんが、この報告書では、2012年に登場後、2015年からはインパクトが大きなリスクのベスト5に毎年入っているのが水不足であり、いまや世界的なリスクとして認識されています。水不足は、どこの水が足りない、この川が干上がった、というようにローカルな問題として取り上げられ、そういったローカルな問題状況をあわせてみたときに、グローバル規模の大きな問題であることがわかってくるでしょう。日本は局地的・季節的な水不足が問題となることはあっても、降雨量は比較的多く、例えば他国で現実に起こっている、水不足のために村を捨てなくてはならない、といった状況は想像し難いに違いありません。
ただ、日本も隠れた水不足を抱えています。それはバーチャル・ウォーターの問題です。日本は大量の農作物や畜産物を海外から輸入しています。それらを海外で生産するにあたって生産国では水を使っており、農業も畜産も水なしにはできません。例えば、1キログラムのトウモロコシを生産するには灌漑用水として1800リットルの水が必要です。牛はトウモロコシのように大量の水で生産された穀物を大量に消費しながら育つため、牛肉1キログラムを生産するには20トンもの水が使われています。日本のカロリーベースの食料自給率が40%程度であることを考慮すると、日本人は他国の水に頼って生きているともいえそうです。他国の水不足は日本でも無関係な問題ではありません。少し古いデータになりますが、2005年に海外から日本に輸入されたバーチャル・ウォーターの量は約800億立方メートルで、これは日本国内で使われた年間水使用量と同程度だったとか。他国の水不足は決して他人事ではないという自覚をもたなければならないでしょう。
さて、冒頭の関東大震災を88歳のときに罹災した大倉財閥の設立者(大倉喜八郎)が、2度にわたる明治期の洪水被害から得た教訓を残しています。
「常に何にもしないで、安閑としていて、夜襲をかけられた時に本丸を渡して裸体で逃げ回る様では、末代までの物笑で、『治に居て乱を忘れず』と云う古人の金言は真に我を欺かないと思うのである。平和の戦士たる商工業者でも、この心掛けのある人なれば安心して城を任して置けるが、この心掛けのない人には決して城を任して置く事が出来ない。平和の戦争にもこの時の如き水害の夜襲があるから、斯(かか)る夜襲に狼狽して、本城を奪われない様に充分に防御の術を尽し得る様、平素の鍛錬と覚悟と熱心と手腕が最も必要である。」
弊社も商戦で不敗を継続できるよう、各人が企業理念を常に意識し、事業に取り組んで参ります。