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昨日、弊社は東京証券取引所上場(2018年9月13日)2周年を迎えました。バブル景気がまさにはじまろうとしていた1986年11月27日に設立され、その後のバブル崩壊やリーマンショックも乗り越え、現在のコロナ禍においても、業績を低迷させることなく事業を継続しています。居住用不動産の賃貸を主力としているため、安定した収入が得られているからです。今後も優良物件の取得をすすめて参ります。
自社で物件を所有する不動産賃貸業では、事業拡大に比例してバランスシート(貸借対照表)の数値も膨らみ、これは弊社においても例外ではありません。ただ、もし所有する物件に借り手がつきにくかったり、転売目的であれば、バランスシートの両側にギャップが生じ、資本を毀損する可能性もあります。実際のところ、バブル崩壊やリーマンショックのときには、これが現実のものとなりました。
1990年代のバブル崩壊後には、「バブルが崩壊しても何ら問題はないのではないか。株価や不動産価格が下落しても、値上がりする前に戻っただけ。」ともいわれていましたが、例えば、個人が手持ちのお金をつぎ込んだ後に資産の価格が戻ったならば、単に元に戻っただけかもしれません。ただ、通常の経済活動では、金融の拡張を通じて貸出などで信用が拡大した場合、負債も同時に膨らんでいきます。資産の価値が毀損しても負債はそのままの水準で残ることは、意外にも理解されていないようです。その結果、上がったものが元に戻っただけ、との表現が横行し、バブルは潰 れて当然との見方につながりやすくなります。バランスシートの問題は説明が容易ではなく、なかでもメディアを含む一般の方々には理解されにくいでしょう。
当時、バブル3業種(不動産、建設、卸小売)とされる業種が注目されたましが、バブル崩壊時のバランスシート調整の問題を把握するには、有利子負債(1998年度3業種合計329.0兆円)とキャッシュフロー(同8.7兆円)のバランスを考える必要があります。具体的な指標としては債務償還年数(同37.9年)と負債圧縮必要額(同223.5兆円)が特に重要とされ、バランスシート調整が進展すれば両指標は低下します。債務償還年数は有利子負債をキャッシュフローで割ったもので、負債圧縮必要額は債務償還年数を10年(不動産業は20年)と仮定した場合に、その10年分(不動産業は20年分)のキャッシュフローを超える有利子負債の金額として算出され、当時のバブル3業種が過剰債務に陥っていたことは明らかです。2003年に不良債権処理の加速を目指して産業再生機構が発足しましたが、企業を支援する際の判断基準として、債務残高が営業キャッシュフローの10倍以内としていたのも同様のスタンスであったと考えられます。
バブル崩壊においては、バランスシート調整といっても特定の業種に偏在する過剰債務問題として評価されました。また、バランスシート上では債務の反対側に資産として不動産が存在しており、バランスシート問題は不動産問題との性格を色濃くもっていました。本来、非製造業の不動産、建設、卸小売という業種は中小企業が集中する業種で、不良債権問題は地方の中小企業の問題との側面もあります。ただし、バブル期の不動産の高騰は東京圏をはじめとする都市部に顕著にみられ、大手金融機関を中心とした信用拡張の恩恵を受けやすかった大手企業に債務が集中しやすく、その結果、大手金融機関の負担になることが少なくありませんでした。日本の金融慣行として主力銀行にメイン寄せという形で負担が集中しやすい構造にあったことも、大手金融機関の問題につながる要因となっています。
さて、弊社は自社で物件を所有する不動産賃貸業を営んでおりますので、事業拡大に比例してバランスシートの数値も大きくなっていきます。金融機関からの借り入れなど有利子負債のみならず、不動産特定共同事業によって家計資産も活用させていただき、それらのバランスをとりながら優良物件の取得を継続していくことで、事業の成長・発展に努めて参ります。