2020.10.19社員ブログ

あえて売り上げを伸ばさない

本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。

秋たけなわ。食欲の秋、とはいうものの、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、経営の危機に立たされている飲食店は少なくありません。日本では強制的なロックダウンはいまのところ未実施ですが、都市部を中心に、国や自治体から、休業要請や営業時間短縮要請がたびたびなされています。

休業や営業時間短縮でも、家賃や人件費といった経費は発生し、また、たとえ営業を再開しても、顧客の来店が十分でなければ、経営は厳しいままでしょう。観光地にある飲食店の場合、観光客が減ることは、そのまま経営の悪化に直結します。新型コロナウイルス感染拡大の影響が長期化するなか、これまでのビジネスモデルが通用しなくなってきていることは明らかです。この問題を考えるためのヒントが、京都市にある国産牛ステーキ丼専門店の「佰食屋」と「佰食屋1/2」にあります。これらの店は店名の通り、1日に100食あるいは50食しか売らないことを目標にしている飲食店です。当然ながら、一定数しか売らないので、大儲けはできません。一方、あらかじめ提供する数量を決めているので、食材の無駄もなく、従業員の残業を抑えることができます。飲食業の現場では残業が当たり前であるため、それがないというだけでも、珍しい事例といえるのではないでしょうか。佰食屋は2012年、佰食屋1/2は昨年オープンし、それぞれ店舗に5人、2人のスタッフが入るスタイルで営業しています。一定数しか売らないというビジネスモデルは注目を集め、昨年、オーナーが書籍を出版するなど、メディアでも何度か取り上げられており、皆様もどこかでご覧になったことがあるかもしれません。

一般的に、これまでのビジネスは売り上げを伸ばすことを目指してきました。経営がうまくいかない場合も、どうすれば売り上げが伸びるのかを考えます。飲食店なら1食でも多く売るために、ランチ営業のみならず、夜まで営業時間を伸ばすでしょう。100食売ったら、次は150食、200食売ることを目標にするといった具合です。確かにこうすることで売り上げは伸びるかもしれません。ただ、食材を多めに仕入れることで無駄が出たり、仕込みのための残業も生じます。売り上げを伸ばすことによる副作用に対して、これまではあまり注目されることはありませんでした。

現下の新型コロナウイルス感染対策の状況が長引き、以前のように観光客や買い物客でビジネスを回すことが難しいならば、少量を売ることで回していけるビジネスモデルの方が持続可能性は高くなります。また、食材の無駄を防ぎ、長時間労働を抑えることができれば、国連のSDGsの目標達成にも貢献できるでしょう。

今までの社会や生活の仕組みを見直す必要があるのではないか、という声を頻繁に耳にしますが、現実のところ、いったいどのように変えていけばよいのか、明確な答えはありません。前述の、あえて売り上げを伸ばさない工夫をするビジネスモデルは、ひとつのヒントを与えてくれています。弊社でも業界の固定観念にとらわれることなく、場面に応じて柔軟に対処しながら、時世を捉えた商品・サービスを提供し続けていくことで、事業の継続に努めて参ります。

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