チェチェチュンチュン、チェチェと最近はめったに聞かなくなった雀の鳴き声が騒がしいほどにします。
朝食の手をとめて窓からテラスの片隅のヒマワリプランターを見れば、そこには、萎れかけたヒマワリの囲りに集まった何羽もの雀たちが飛びまわり、ヒマワリの茶褐色になった花に取りついては、すぐに別の花へと移り、ヒマワリの種をさがし回っているようです。と云うことは種は既に無くなっているのでしょうか。
テラスに出てみれば、人の様子を察知して雀たちは一斉に雲一つない青空に飛び立ち、プランターの周囲にはヒマワリの種殻が無数に散らばり落ちていて、毎朝こんな光景が続いていたことがわかります。
ふっと見れば、花は皆枯れ、幹まで変色したヒマワリに細い枝で絡み付き、小さな黄色の花を付けた根性ヒマワリが、以前より少し冷たくなった風の中に揺れています。
今年は、蒔いた時季も悪かったうえ、長雨で日照時間も短かったことから、丈は短く、花付きも思わしくなく、小振りのものしか咲きませんでした。
萎れて、もう水の吸い上げも無さそうだけれど、まだ黄色混じりでも緑の色を残す葉を見れば、水遣りをたっぷりせずにはいられませんでした。
外から夕方に戻り、また再びテラスに出ると、夕空は晴れて、風はより冷たくなってきました。もう雀は一羽もいなく、カア、カアーとカラスの鳴き声が、より濃くなった青空の何処からか聞こえてきます。
さて、雀ではなく、カラスでもないカナリアのお話になります。
よく「炭鉱のカナリア」と云う言葉を耳にしますね。
何らかの危険が迫っていることを、知らせてくれる前兆を言う言葉ですが、今月14日国際通貨基金(IMF)が発表した財政報告に掲載されていました。
ちょっとサプライズなもので、新型コロナウイルスへの対応で、「積極的に財政は活用すべし」としたうえで、「低金利の恩恵で高水準の各国の債務残高は当面リスクとはならない」と明言するものでした。
本日も、小生のブログにアクセス頂き、ありがとうございます。
IMFは常に経済・金融危機の「最強の番人」と云われ、早急な緊縮財政を迫るのが
通常のパターンです。
しかし、この度は積極的財政出動で低金利の高水準となる国の債務残高にお墨付きを事実上与えるものとなりました。
この記事は、コロナ禍の各国は、中央銀行と歩調を合わせ、インフレが脅威となるまでは、財政支出拡大のため自国通貨建ての国債発行は心配ないという、MMT(現代貨幣理論)を裏付けるものでもありました。
しかもこの余波が金融や資本市場に影響を与えないはずはありません。
即、債権市場では米国10年物国債利回りが0.7%前後と1%を割り込んでいます。本来であれば、国債は長期においては色々なリスクを織り込んで、利回りが高くなるのが通常なのに、米国では国債発行が積み上がり、長・短期の金利差がコロナ以前より極端に縮小しています。
況や、日本は長・短期の金利変動幅がほぼ無くなりました。
様々なマーケットは相互に関連し合っていて、本来であれば、金利動向は、物価や景気の先行き、さらに財政リスクまでを先読みするもので、それに連動するクレジット市場は、さらに敏感で、所謂「炭鉱のカナリア」として機能してきたのです。
そのカナリアは危機を察知すると鳴き声が止むはずなのですが、それが機能停止となると、バブル崩壊などが突然起きるまで一切何も判らないと云うことになるのでしょう。
いや、2度のバブル崩壊を経験した者として云えるのは、株式市場も不動産市場も、バブルによる高値警戒感と云ったものはごく自然に芽生え出し(現下がそれと思っています)徐々に増幅されるものです。各人により、その感度に差があるだけで、「何となく」でも察知したら雲一つない青空へ飛び立つ雀のような、早目の行動が肝要であると思います。
本日のボンドランチ
鶏肉ではなくしめじ豚肉弁当