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今年6月末、国連の持続可能な開発ソリューションネットワーク(SDSN)とドイツのベルテルスマン財団は、各国の持続可能な開発目標(SDGs)達成状況に加え、新型コロナウイルス対応に焦点を当てた2020年度版「持続可能な開発目標インデックス&ダッシュボード」を公開しました。国連加盟全193ヶ国のSDGs達成状況を分析した指標では、昨年度と順位は異なるものの、北欧3ヶ国(スウェーデン100点中84.7点、デンマーク同84.6点、フィンランド同83.8点)がトップ3を占めています。
日本は79.2点の17位で、2017年度の11位、2018年度の15位、2019年度の15位から順位を下げました。日本の各目標の達成状況では、目標4(教育)、目標9(産業と技術革新の基盤)、目標16(平和と公平)が達成の評価を得た一方で、目標14(海の豊かさ)、目標15(陸の豊かさ)が、まだ深刻な課題ありとの低評価になっています。
今回はOECD加盟33ヶ国の、新型コロナウイルス感染に対する早期対応の効果分析も報告されました。保健と経済の両側面を考慮して測るために考案した試験的指標を使い、3月4日から5月12日のデータを元に分析した結果によると、首位は韓国で、以下、ラトビア、オーストラリアが続き、日本は6位です。また、目標17(パートナーシップ)にある国際協力以外に早急なコロナ禍解決への道はなく、ベストプラクティスの迅速な普及、途上国のための資金調達のしくみ強化など5つの重点施策での国際協力が必要としています。
さて、関連するお話になりますが、投資の世界でも再生可能エネルギーや資源循環技術といった低炭素経済の実現に向けての動きが顕著です。気候変動対策に後ろ向きな企業や化石燃料関連企業から投資を引き揚げる事例も増えています。例えば、先月、オランダの資産運用会社ロベコは、化石燃料企業からの投資撤退を拡大すると発表しました。売上高の4分の1以上を燃料炭あるいはオイルサンドから上げている企業と、1割以上を北極圏での掘削に依存する企業を年末までに投資対象から除外します。同社は長年にわたって積極的に対話を試みたものの、該当企業に大きな変化はみられませんでした。また、8月には、約10兆円を運用するストアブランド(ノルウェーの金融機関)が、石炭関連など30社弱の株式を売却したと発表しています。気候変動対策に後ろ向きなロビー活動をしているとして、ドイツのBASF、米国のエクソンモービルなどを除外しました。ロベコやストアブランドのように化石燃料企業からの資金引き揚げを表明した団体は世界で1200を超えています。総運用資産は約1500兆円と、過去2年で2倍超に膨らみました。自然災害で発生する被害は年々大きくなっており、投資家も気候変動リスクを無視できません。
ストアブランドの発表と同月の8月、日本では年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が、温暖化ガス排出量の規制強化など環境対応がすすめば、日本企業の企業価値が増大する可能性があると、2019年度ESG活動報告のなかで指摘しています。GPIFは保有する国内・国外株式、国内・国外社債を対象に気候変動の影響を分析し、負の影響だけでなく、環境関連の特許情報から、規制強化が収益に与えるプラスの影響も算出しました。世界の気温上昇を2℃以内に抑える政策がとられると、国内株式の価値は12.3%増加し、逆に外国株式は6.6%減少するとか。
環境が重要な投資材料になるなか、資金を呼び込むには省エネ技術などこれまで培ってきた技術を新たな事業機会につなげられるのかが問われています。弊社は製造業ではありませんが、業界を問わず、他社事例を参考にしながら、環境対応に取り組んで参ります。