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明日は文化の日。国民の祝日に関する法律によれば、「自由と平和を愛し、文化をすすめる」ことを趣旨としています。平和と文化を重視している日本国憲法が1946年11月3日に公布されたことから定められたものですが、明治天皇の誕生日(1852年11月3日)でもあり、1873年から1911年までは天長節、1927年から1947年までは明治節として休日となっていました。
2度目の明治節の日(1928年11月3日)、大阪府豊能郡豊中町(現在の大阪府豊中市)で写真家の家庭の長男として生まれたのが、漫画の神様と評された手塚治虫(本名:手塚治)氏です。明治節に因んで、治と名付けられました。医学博士でもあった手塚氏は、チェルノブイリ原発事故(1986年4月26日)、フロンによるオゾン層破壊など、地球上の大気汚染が世界中に広がり、回復不可能なまでに森林が姿を消している状況に対し、未完のまま遺作となった随筆集『ガラスの地球を救え–二十一世紀の君たちへ–』のなかで言及しています。手塚氏が亡くなって(1989年2月9日、60歳)30年以上になりますが、現在でも大変興味深いものなので、内容を一部ご紹介します。
「SF映画や小説、マンガには核戦争や大気汚染で、人類がついに滅亡する物語は数多くあるけれども、もうフィクションの世界のことではなくなりつつあります。こうなってしまった以上、まだ間に合ううちに言っておきたいやむにやまれぬ気持ちが、ぼくのなかで動いています。(中略)科学の進歩は、本来人類に幸福をもたらすはずだったものです。ところが、いまでは地球を痛めつける悪い奴になってしまった。かつて荒唐無稽だと笑われたこともあるぼくのマンガどころの騒ぎではおさまらない。危機的状況といわざるをえません。『鉄腕アトム』で、ガロンというロボットが口から毒ガスを吐き出すのをやめさせるために、ばかな軍人が水爆を使ってガロンを破壊しようとするシーンを描いたことがありましたが、なんと、いまや現実のほうが、マンガの世界を越えてしまっています。放射能による食物汚染もさることながら、薬品による汚染も相当なものだといわれています。しかも、その理由は大量生産して儲けを多くするためでしかない。そんなばかなことが、えんえんと続けられてきているのです。生産性を上げるために人類の寿命を縮めるなど、本末転倒もはなはだしいことを否定できる人間はいないにちがいありません。昭和六十三年に尊敬するウォルト・ディズニーに捧げる『森の伝説』というアニメをつくりましたが、人間が開発と称して森の木を伐(き)っていくのに、森の動物や草木が反乱をおこすという話です。自然への畏怖をなくし、傲慢になった人類には必ずしっぺ返しがくると思います。いまこそ、全地球的レベルで、超長期的、何百年何千年という視点から、地球を考える必要があるのです。」
地球環境問題への対処も十分にできていないうちに、世界は新型コロナウイルス感染危機に巻き込まれてしまいました。出口はどこにあり、そこまでにどれだけの被害や損害があるのでしょうか。感染防止は徹底的になされるべきですが、一方で、経済活動を本格化しなければ、世界全体の土台が崩れてしまいかねません。ただ、いうまでもなく、有限の地球上で無限の経済成長を続けようとすることは不可能です。持続可能性の難題に直面しているいま、弊社も微力ながら、事業を通じてその解決策の一端にでも関与していければと思っています。