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国境警備隊による射殺や、川を泳ぎ切れずに溺死した市民は28年間(1961年~1989年)で200人以上。
ベルリンの壁崩壊(1989年11月9日)から今日でちょうど31年になります。旧東ドイツは集権的な計画経済の下、多くの問題を抱え、特に1970年代以降、東西の格差は一層大きくなっていました。抑圧された体制のなかに閉じ込められ、十分な経済的繁栄に至っていない東ドイツ市民の不満は、若者を中心に、自由で豊かな西側社会へ逃れたいという大きな流れを生み、これが壁崩壊につながっています。東西のドイツが統一して30年以上経過していますが、いまだ経済格差や家計の所得・資産格差が解消しているとは言い切れません。
ところで、そもそも人々は何のために所得を得て、資産を貯えようとするのでしょうか。答えは様々ですが、現下の日本では、「退職後の生活資金を確保するため」、というのが当たり前になってきています。とはいえ、この答えが多数派になったのはここ7~8年のことです。金融庁が毎年発表している「家計の金融行動に関する世論調査(2人以上世帯)」では、日本人が金融資産を保有する目的は長らく「病気や不時の災害への備え」でした。1980年代は回答者の7割以上が主目的に挙げています。「老後の生活資金」が首位になったのは2013年で、1980年代は40%台と「子どもの教育資金」と同程度でしたが、そこから30年強を経て日本人の最大の目的となりました。バブル経済崩壊の時期と重なるように比率が上昇し、2001年に60%直前まで到達しています。そこから数年は横ばいだったものの、2007年に60%台に乗せ、2016年には70%台に達しました。経済環境の厳しさが増すにつれて老後への不安も高まり、それが「老後の生活資金」を金融資産保有目的のトップに押し上げたといっても過言ではありません。
退職後の資金確保を目的とする場合には、形成した資産を一括で取り崩すことはなく、いかにうまく取り崩していくか、という議論が老後資金確保の重要性の高まりと比例するように注目されています。例えば、2017年11月の金融庁金融行政方針には、「高齢者が、長期にわたって不安なくゆとりある生活を維持していくためには、それぞれの状況に適した資産の運用と取り崩しを含めた資産の有効活用が計画的におこなわれる必要があると考えられる」とあり、資産の取り崩しや有効活用の必要性に触れています。更に、2018年3月に閣議決定された高齢社会対策大綱では、過去3回の大綱では触れていない資産の取り崩しに初めて言及しました。昨年6月には金融審議会市場ワーキング・グループから「高齢社会における金融サービスのあり方」が公表され、正式な報告書とはならなかったものの、そこでも半年以上かけて、資産の取り崩しを含む高齢者への金融サービスが議論されています。国民の資産形成の目的が老後の生活費へシフトしてきたことで、その重要性を説くのみならず、築き上げた資産をどう活用するのかに、行政も目を向けはじめました。
退職後の生活資金は、現役時代につくった資産を少しずつ引き出しながら、老後の長い生活をカバーできるように工面していかなければなりません。退職後に資産運用を続けることで資産寿命を延ばすことも可能です。弊社でもそのお役に立てるような商品を皆様に提供し続けていけるよう、企業努力を重ねて参ります。