早いもので、今年最後のアイボンドブログとなりました。一年間、ご愛読いただきまして有り難うございます。来年もよろしければ引き続きご覧下さい。
毎月28日はお不動さまの縁日です。年の最後の縁日は納め不動で、私の自宅から歩いていける目黒不動尊(天台宗泰叡山護國院瀧泉寺)にも、今日はたくさんの人が、一年のご利益のお礼で訪れることでしょう。目黒不動尊には二宮尊徳、西郷隆盛、東郷平八郎といった歴史に名をとどめている人々が参拝に訪れており、さつまいもの栽培を広めた甘藷先生こと蘭学者の青木昆陽もそのひとりです。敷地内には墓地があり、毎年10月28日には甘藷まつりが開かれています。さつまいもは天候の不順や荒れた土地、病気にも負けずに育ち、そのうえ栄養価が高く、長期保存が可能です。天明の大飢饉をはじめとする深刻な食糧難の際、多くの命を救うことになりました。
今年3月に閣議決定された食料・農業・農村基本計画において、2030年度を目標年度とする総合食料自給率の目標設定がなされています。その自給率のうち、供給熱量ベースは、生命と健康の維持に不可欠な基礎的栄養価であるエネルギー(カロリー)に着目したものであり、消費者が自らの食料消費にあてはめてイメージをもつことができるなどの特徴があり、もうひとつの生産額ベースは、食料の経済的価値に着目し、エネルギーが比較的少ないものの、高い付加価値を有する畜産物、野菜、果実などの生産活動をより適切に反映させることが可能です。具体的な目標数値として供給熱量ベースで45%、生産額ベースで75%と定められました。
供給熱量ベースよりも生産額ベースの方が相対的に高いのは、日本の農業構造が諸外国と比べ、カロリーの高い土地利用型作物よりも畜産物、野菜、果実などの付加価値の高い作物の生産に比較優位があることを示唆しているといえるでしょう。このため、諸外国の経済発展による海外市場の拡大や食生活の多様化に積極的に対応し、比較優位のある品目を生産・輸出していくことは、生産額や所得の確保を図り、農地の保全や就業者の確保を図っていくうえで重要となります。一方で、食料の安定供給のためには、国内生産の増大を図ることを基本としつつ、国内生産では十分に賄うことのできない食料を安定的に輸入していかなければなりません。
自給率は長期的に低下傾向で推移してきましたが、1996年度以降は供給熱量ベースで概ね40%前後とほぼ横ばい、生産額ベースは1996年度以降、60%台後半から70%台前半までの範囲で推移しています。長期的に低下してきた主な要因としては、食生活の多様化がすすみ、国産で需要量を満たすことのできる米の消費が減少した一方で、飼料や原料の多くを海外に頼らざるを得ない畜産物や油脂類の消費が増加したことによるものです。
人口減少、農業従事者の高齢化、農地面積の減少などがすすむなかで自給率を向上させるためには、国内生産基盤の強化によって農業を持続可能なものにしていく必要があります。品目ごとのきめ細かな対策とともに、農地の集積・集約化、新規就農の促進などによる担い手の確保、スマート農業の導入、農地の大区画化・汎用化といったことに取り組まなければなりません。更に、消費者に対して食料・農業・農村のもつ役割の理解を促し、国産農産物の消費拡大につながる主体的な行動を引き出していくことや、安定的な取引関係の確立による農業と食品産業の連携強化により、国産農産物の需要拡大を図っていくことも必要でしょう。
現況では関与がなくても、将来、何らかのきっかけでこの分野でも弊社がお役に立てる場面がやってくるかもしれません。来年以降もどうぞ弊社にご注目を。皆様、よいお年をお迎え下さい。