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新型コロナウィルス感染拡大を受け、昨年2月末、全国の小学校から高校までが一斉臨時休校となり、再開の時期は地域によって異なりましたが、東京では多くの学校が再開したのは6月に入ってからです。長期間にわたり、学校で授業を受けられないという想定していなかった状況が生じてしまいました。このようなとき、学びを止めない手段として役立つのがオンライン授業といえるでしょう。
ただ、今回の休校期間中にオンライン授業をおこなった学校はごく一部にとどまりました。文部科学省の調査によると、4月中旬時点で、休校期間中に双方向型のオンライン指導をすると回答した自治体は5%にすぎません。保護者がスマートフォンをもって仕事にでかけてしまうと、自宅にはオンライン授業を受けるための情報機器がない、子どもが使えるパソコンがないなど、勉強に使える情報環境の整備は不十分であることが浮き彫りになりました。この状況は世界と比べてどうなのか、新型コロナウィルス感染拡大前のものになりますが、2018年にOECDがおこなった調査のなかから、15歳の学生における、勉強のために使えるパソコンやインターネット環境の有無のデータを少し紹介します。
OECD加盟国(37ヶ国)について、自宅に学校の勉強のために使えるコンピュータやインターネット回線がある、と回答した15歳の生徒の割合をみると、 この環境が最も整っているのはデンマークです。98.1%と、ほとんどの生徒が勉強のためにコンピュータやインターネットを自宅で使える状況になっています。その他、多くの国でも環境が整っており、スロベニア、ノルウェー、ポーランド、アイスランド、リトアニア、スイス、オランダ、チェコ、スウェーデン、フィンランド、オーストリア、ラトビア、カナダ、オーストラリア、ポルトガル、ベルギー、英国、イスラエルなどでも90%を超えています。
一方、日本は60.2%にすぎません。オンライン授業を自宅で受けられる環境にあるのは10人中6人だけです。これはOECD平均の88.8%を30ポイント近く下回っており、OECD加盟国内での順位も37ヶ国中35位と下から3番目でした。この状況では、オンライン授業がすすまないのは当然でしょう。
更に問題なのは、家庭環境による差です。この調査では、社会経済的に恵まれているか否かによって、勉強のためのコンピュータやインターネット環境が整っているかどうかに、どの程度の差があるのかを調べています。オンライン環境が最も整っているデンマークと日本とを比較してみると、日本で最も社会経済的に恵まれていない層(下位25%)は、コンピュータやインターネットが使える割合が37.8%と非常に低く、これに対して最も恵まれている層(上位25%)ではこの割合が78.8%なので、両者の差は40ポイント以上です。デンマークではこの差は5ポイント程度にとどまっています。
オンライン授業を受けられる環境を整えることは、新型コロナウィルス感染拡大による休校時のみならず、病気、ハンディキャップのある生徒への対応など、社会的に重要です。確かに、オンライン授業のための環境整備は、対面授業が問題なくおこなえる平時だけを考えれば、無駄なものかもしれません。しかしながら、オンライン授業にいつでも切り替えられる環境を整えておくことは、いざというときの備えになります。しかも、インターネット上の情報を見極め、学びを深めていく技術は、これからの社会を生きていくために不可欠なものです。次世代を担う人々を育てるという意味でも、家庭の情報環境整備のために社会的に投資をすること、その際には不平等が広がらないように配慮することが求められています。
さて、今年も弊社にとって実りある一年にしなければなりません。不動産市場や金融市場の動向を見極めつつ、ステークホルダーの皆様のご理解を十分に得て、事業を展開して参ります。