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コロナ禍において、既に新年度もはじまっておりますが、歴史を遡りますと、ちょうど144年前(1877年4月12日)、明治政府が設立した東京開成学校と東京医学校の2校が統合され、文部省管轄の官立東京大学が設立されました。これにちなみ、現在の東京大学では毎年4月12日に入学式をおこなっています。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、今年は新入生のみの参加となり、昨年に至っては式は中止され、動画配信での対応となりました。
さて、入学や入社に伴い、引っ越しをされた方も少なくないでしょう。新居を探すにあたり、洪水に備え、自治体のハザードマップを確認したという人は、ほとんどいないかと思われますが、今年も梅雨時期の豪雨には十分に警戒しなければなりません。
有史以来、日本では数多くの洪水が発生しては人々を苦しめてきました。文献に残る最も古い記録では、858年に武蔵国(現在の東京都、埼玉県)において大規模な水害(武蔵国水害)があったことが、平安時代に編纂された日本三大実録によって伝えられています。中世・近世に入ってからは更にその記録は増え、例えば1742年、現在の長野県にある千曲川・犀川(さいがわ)流域で発生した戌の満水(いぬまのまんすい)では2800人以上が命を落としました。全国各地で、中世から近現代に至るまでの数多くの洪水による水害が記録されています。
ちなみに、武田信玄も河川の水害に頭を悩ませていたとか。たびたび氾濫を起こしては領民や田畑を奪う領内の釜無川・笛吹川の急流に信玄堤という堤防を築き、治水に励んだとことが伝えられています。日本の災害史は洪水との戦いの記録であったともいえそうです。
ではなぜ、日本にはこれほど洪水が起きるのかといえば、その原因のひとつに、高低差の激しい国土があります。日本の河川は世界の国々と比べて急勾配です。上流で起きた降雨による水は短時間で人々が暮らす下流まで押し寄せてきてしまいます。ミネソタ州からルイジアナ州まで米国を縦断するミシシッピ川は全長約3779kmと長大ではあるものの、源流から河口までの高低差は450mしかありません。これに対し、日本の木曽川は全長229kmとミシシッピ川の約18分の1でありながら、上流から河口までの高低差は800mです。海外の多くの大河が長距離をゆったりと河口まで流れているのに比べ、日本の河川は短時間で一気に流れ落ちてくるため、川の上流に雨が降ると急激に水かさが増してしまい、瞬く間に下流に押し寄せ、洪水を引き起こしてしまいます。
ここ数年、ゲリラ豪雨といった局地的な豪雨が発生しやすくなったことで、洪水による水害はより発生しやすくなりました。自分の暮らす街がどのような状況にあるのか、ハザードマップで確認しておく必要があるでしょう。例えば、東京都江戸川区は、江戸川と荒川の2つの大河川の下流域に挟まれており、洪水が起きやすい地域です。一見すると、河川の氾濫の際には上流へ逃げるのが正解に思われますが、必ずしもそうではありません。ハザードマップによれば、江戸川区は沿岸部の方が内陸部よりも海抜が高く、安全であることがわかります。ですから江戸川区に関しては、海へ向かって逃げることが正しい判断になります。思い込みだけで行動しないためにも、事前によく確認をしておきたいところです。
治水の難しい国に暮らしているという現実を受け止め、自分の命は自分で守るつもりで万全な備えをしておかなければなりませんが、弊社も不動産を所有し、貸しておりますので、その管理には注意を払って参ります。また、新たに不動産を購入する際には、ハザードマップの確認をおこなっていることはいうまでもありません。