昨日は海の日でしたが、
先月中旬、長野県軽井沢町でおこなわれた20ヶ国・地域(G20)エネルギー・環境相会合で、
海洋プラスチック汚染を減らすための国際的な枠組みづくりが合意されました。
気候変動対策の枠組みであるパリ協定とは異なり、目標の数値や達成年度は定められていないものの、
国際的な合意がなされています。
現在、世界中で毎年1億トンを超えるプラスチックごみが海に流出しているともいわれており、
2016年1月のダボス会議で、このままの状態であれば、海洋中に存在するプラスチックの量は
2050年までに重量ベースで魚を超える、という衝撃的な研究報告を大きなきっかけとして、
課題解決に向けた国際的な動きが進行中です。日本でもレジ袋の有料化が来年4月を目途に
義務化されるということで様々な議論がなされていますが、
世界の動きからすれば、遅れているといわざるを得ません。
レジ袋をはじめとする使い捨てプラスチックの規制は、大きく2つに分けると、
課税や有料化によって使用量を削減しようとする課税・有料化、
使用そのものを禁じる禁止令があります。
国連環境計画が公表している昨年の報告書によると、
使い捨てのプラスチックごみを減らすために課金や禁止を実施している国は60ヶ国以上です。
例えばルワンダでは、既に2008年からレジ袋やビニール袋の製造・輸入・販売・使用が
全面禁止されています。海外からルワンダの空港に到着して、
もしスーツケースにビニール袋が入っていたら、その場で没収です。
ケニアなどでも同様の厳しい方策が導入されています。フランス、イタリア、オランダなどでも
既に無料でのレジ袋配布は禁止され、アジアでは台湾が2030年のストローやレジ袋などの
完全使用禁止に向けての移行計画を発表しました。また、レジ袋の使用だけではなく、
製造も禁止している国も少なくありません。
現時点では20ヶ国程度でレジ袋の製造が禁止されているようです。
この分野に明るい日本のある有識者は、レジ袋有料化について、
以下のようなコメントを残しています。
「海洋プラスチック汚染の現状から、減らしていくことは必須でしょう。
やり方はそれぞれの国にあった有効なやり方をすればよいと思いますが、
ようやく日本も一歩すすめるかなと思っています。日本では、かつてマイバッグ運動がありました。
今でもマイバッグ派はもちろんいますが、社会全体に広がったかというとそうではなかった。
良識や問題意識のある人だけでなく、社会全体の行動を変えるには、
やはり、値札を変えることが有効です。つまり、有料化です。
そして、それでも駄目なら禁止も必要になるのかもしれません。海洋プラスチック汚染は
大きな問題です。解決策がすぐに必要です。一方で、解決策が別の問題を生み出さないように、
十分気をつけなくてはならないと思っています。短期的な視野で目の前の問題だけに
取り組もうとすると、中長期的に目の前ではない場所に問題を引き起こす。こうすればどうなるかな、
と視野と時間軸を広げて本質的な解決策を考える必要があります。」
企業にとって、社会課題はイノベーションの源泉でもあります。
弊社として取り組める社会課題に真正面から向き合い、本質的な解決策の糸口を
探り続けていくことで、その答えを導き出していきたいと考えています。