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5月も中旬となりました。気候もよいので、地図を片手に知らない街にでも繰り出したいものの、まだコロナ禍は続いており、遠出は難しそうです。できることといえば、地図を眺めて知らない土地に思いを巡らせるくらいでしょうか。
地図といえば、歴史を遡ると、ちょうど203年前(1818年5月17日)、江戸時代の測量家であり、近代的な日本地図作成の先駆者とされる伊能忠敬が73歳で人生の幕を閉じています。弊社はかつて、都内の住居跡地に建てられたマンションを所有していました。忠敬は49歳で隠居後、50歳のとき江戸に出て、幕府天文方高橋至時に師事し、暦学(天文学)を修めます。この勉強中に緯度1度の距離が暦学上の問題となっているのを知り、蝦夷地への測量をはじめとして、1800年から1816年まで、日本初の実測による全国測量を実施しました。忠敬の没後、1821年に幕府天文方の手で大日本沿海輿地全図を完成させています。忠敬の測量事業は、当初、個人事業としてはじめられましたが、途中で第11代将軍の徳川家斉の上覧を受けるなど幕府に認められ、大部分は幕府事業として遂行されました。
忠敬が作成した日本地図は、総称して伊能図と呼ばれ、大きく分類すると大図214枚(1/3万6000)、中図8枚(1/21万6000)、小図3枚(1/43万2000)、その他の図となります。このうち大図は実測図で、その大きさは畳1枚ほどあり、これを縮小して中図、小図がつくられました。大図作成のための測量は、方位と距離を手帳に記録しながら、沿岸や街道を進行する方法でおこなわれています。
さて、日本の人口は2008年をピークに減少をはじめ、現在、本格的な人口減少の最中です。バブル経済期には、地価高騰を背景に地価対策を主眼として、土地基本法の制定や土地の投機的取引の抑制といった総合的な土地対策が展開されていましたが、経済社会の構造が変化するなか、土地を巡る状況も大きく変化しています。人口増加局面の開発圧力が高い状況の下では、土地の最適利用を確保するため、計画に基づく事業推進や宅地供給、都市的土地利用に関する規制的手法が有効でした。しかし、人口減少局面では、全体として土地利用ニーズが低下していくなかで、経済成長や地域の活性化、安全で持続可能な社会の形成に向け、計画的なまちづくり、地域づくりをすすめながら、インセンティブによる土地利用の喚起・誘導や投資の促進、取引の円滑化により、土地の条件に応じた最適利用を促すことが重要となっています。
土地が最適に利用されるようにするためには、新たな需要を的確に捉え、都市再生や地方創生施策をはじめ、土地の有効利用の誘導と取引の円滑化を図る施策の推進が求められ、特に、低未利用の土地については、土地の集約・再編、所有と利用・管理の分離、多様な用途による活用を通じ、その潜在的な価値を顕在化させることを含め、有効利用を図ることが必要です。また、人口減少・高齢化の進展を背景とした土地利用ニーズの低下や土地の所有意識の希薄化は、空き地・空き家といった低未利用の不動産や、所有者による適正な利用・管理が期待できない管理不全の土地の問題を引き起こしています。潜在的にも利用の可能性が極めて低い土地については、適正に管理がなされないおそれがあり、近隣住民の生活環境の悪化、周辺の土地利用や災害時の対応の支障など悪影響が生じる場合があるため、それらの解消とともに、土地が管理不全状態に陥ることを未然に防ぐ具体的な措置も求められているところです。不動産業を営んでいる弊社においても、適正な利用・管理に努めて参ります。