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コロナ禍は続いておりますが、国家の危機に直面した際、いかに国民の生命や財産を守る気構えを示し、国民に協力と団結を促すことができるか、指導者の資質と力量が試されることはいうまでもありません。ちょうど42年前(1979年6月21日)、実業家として成功を収めた松下幸之助は、次代の国家指導者を育成すべく、70億円の私財を投じ、神奈川県茅ケ崎市に松下政経塾を設立しました。以後、政治家を中心に、経営者、大学教員など、各界に人材を輩出し続け、弊社にも卒塾生がおります。
その松下幸之助ですが、父親が米相場で失敗して破産したため、尋常小学校を4年で中退し、9歳から火鉢店、自転車店などで丁稚奉公をしていました。貧しかったこともあり、食に対する思い入れは強く、1962年におこなわれたある講演会では、次のように述べています。
「ご承知のように、日本は敗戦に直面致しまして、今日でちょうど17年たったわけであります。この17年間は、われわれ国民と致しましては、色々のことを体験したと思うんであります。一番大きな体験は、食うことがいかに難しいもんであるか、また、食うということはいかに尊いもんであるかということを、大小の別がありましょうけれども、皆一様に感じたと思うんです。そして国が安泰であるということの喜びを、お互い初めて知ったんやないかと思うんです。国が安定していることは、国民としてどれほど大きな幸せであるかということを、あの敗戦に直面致しまして、しみじみと感じたのではないかと思うんであります。私自身、なるほど戦争を境にして、こうまで悲惨な状態になるかということを感じました。世に泰平という言葉がありますが、泰平という言葉がいかに尊いもんであるかということを感じたんであります。」
日本は世界のなかでも食の種類が非常に豊富であるといえるでしょう。この背景には日本の文化や地政学的な特性があります。豊かな海や山に恵まれ、各地域には個性ある食文化が存在し、また、人や企業関係を重視する文化・風土に加え、先進国のなかでは都市化率が低いために産地と消費地が離れ、消費地もかなり点在しています。このため、食産業に関わる事業者は専業食品メーカーが多く、スーパーなど大手小売の寡占度は思いのほか高くありません。その結果、業務上の特徴として仕入先も販売先も多く、発注・受注管理や与信管理が煩雑で、情報量も膨大となり、サプライチェーンマネジメント(原材料が調達されてから商品が消費者にわたるまでの生産・流通プロセス)の高度化も難しい状況です。
こうしたなか、食産業の労働生産性は他の産業に比べ低いものになっています。少ない費用で労働生産性を高めるためには、遅れをとっているIT化の推進など新たな仕組み・技術の導入が不可欠であり、そのためには業界連携・官民連携が重要であるといえるでしょう。近年、フードテックという言葉がはやり出し、様々な場面でフードテックを銘打った商品・サービスが開発されてきています。ただ、これらを個別の技術として捉えると、単なる新技術として終わってしまうので、食産業の課題、目的を設定し、それを解決する手段としてフードテックの可能性を探っていかなければなりません。国内食産業が抱える課題をフードテックの普及によって改善し、日本の食の多様性を維持・発展させる必要があります。
さて、不動産業でも不動産テックやプロップテック(プロパティテック)の活用は喫緊の課題です。弊社でもそのリテラシー(理解し、使いこなす能力)を高め、社会が必要としている、あるいはこれから必要とするであろう商品・サービスの提供をすすめて参ります。