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今年3月末、世界経済フォーラムから2021年版世界ジェンダーギャップ報告書が公表されました。今年は156ヶ国を対象に経済、教育、健康、政治の4分野で男女格差を指標化し、順位づけしています。世界の平均指数は68%(100%を完全な男女平等とした際の達成度)で、前回よりもわずかに後退しました。現在の速度では、世界の男女格差を縮めるのに136年かかると試算されています。
世界で最も男女格差の小さい国はアイスランド(89%)となり、12回目の首位獲得です。第2位フィンランド(86%)、第3位ノルウェー(85%)と続き、北欧諸国が上位を占めています。日本は120位(65%)で、政治や経済での格差が依然として大きく、昨年同様、主要7ヶ国(フランス、米国、英国、ドイツ、イタリア、カナダ、日本)で最下位でした。
今回の報告書は、新型コロナ感染症のパンデミック宣言後一年余で発表されています。コロナ禍で、女性はエッセンシャル・ワーカーとして危機に対処する最前線にありながら、失業、将来的な再雇用や収入面で男性よりも一層深刻な影響を受け、縮まっていた差が部分的に再拡大しているところです。報告書でも、回復戦略として、労働市場に長期の傷跡を残さぬよう、昨年に拡がった差を縮めることが極めて重要としています。包括的でレジリエンス(折れることなく立ち直ることができる回復力)のある男女平等の経済を築くには、開放的な職場への投資や平等な医療制度の構築、指導的地位への女性登用の促進、技術の学び直しや配置転換へのジェンダー視点の反映などが必要です。
さて、女性の就労に関しては、結婚・出産に伴う離職を示すM字カーブ(縦軸:就業率、横軸:年齢)の問題が指摘されていますが、近年、20歳代半ばから30歳代までの女性の就業率上昇によってグラフは台形に近づき、M字カーブ問題は解消に向かっています。この背景としては、1990年代においては主に未婚率の上昇が、2000年代以降は主に有配偶女性の就業率の上昇が影響しているようです。国立社会保障・人口問題研究所が実施している出生動向基本調査で、1987年から、女性が自らの結婚、出産、子育てと就業との関係について実際になりそうだと考えるライフコースをたずねており、また、男性には、パートナーとなる女性に望むライフコースをたずねています。1987年から1992年頃における女性のライフコースは再就職、専業主婦の順でした。しかしその後、専業主婦が大きく減少し、再就職も1990年代後半から減少するなか、両立、非婚就業が増加した結果、その他・不詳を除くと、2015年には再就職、両立、非婚就業、専業主婦の順になっています。この傾向は、男性がパートナーに期待するライフコースにおいても非婚就業を除き、同様となっています。
性別役割分担に対する考え方も、賛成多数から反対多数へ変化してきました。夫は外で働いて妻は家庭を守るべき、という性別役割分担について1992年以降の傾向をみると、20歳代では一貫した傾向はみられないものの、30~50歳代では男女ともに賛成多数(どちらかといえば賛成も含む)から反対多数(どちらかといえば反対も含む)へ変化しています。1985年、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(男女雇用機会均等法)が制定されて以降、性差別の禁止、セクシュアルハラスメント対策、妊娠・出産に関するハラスメント対策などについて、累次の改正を通じて法制度が整備されてきました。また、1991年の育児休業等に関する法律の制定によって育児休業を創設し、1995年には同法を改正して介護休業も創設するなど、仕事と育児・介護の両立支援がおこなわれ、更に、短時間労働者の多い女性の就業実態を踏まえ、1993年には短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム労働法)が制定されています。
社会に必要とされる商品・サービスを提供していくためには、従業員がより働きやすくなるよう、職場環境の整備は欠かせません。弊社でもその取り組みをすすめて参ります。