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昨年11月になりますが、米国のあるリサイクル・廃棄物処理業者は、新型コロナウイルス感染拡大が、消費者に対して、サステナブルな生活を送るよう、警鐘を鳴らす役割を果たしている旨の調査結果を公表しました。この調査は米国の9つの主要都市に暮らす2250人を対象に実施されたもので、概要は以下の通りです。
(1)回答者の58%が、新型コロナウイルス感染拡大により、自分たちの日常の環境配慮行動を見直していた。
(2)65%が、感染拡大はリサイクルを中心とした環境に優しいライフスタイルを選択するよう、警鐘を鳴らす役割を果たしていると回答した。
(3)44%が、感染拡大以降、自分たちが環境に与える影響について、以前よりも意識するようになった。
(4)43%が、感染拡大以降、環境に優しい商品を購入することに、以前よりも気をかけるようになった。
(5)41%が、感染拡大以降、ゴミをあまり出さないようにしている。
更に、感染拡大のため、今までよりも長時間を家で過ごすようになった人のなかで、77%が以前よりもリサイクルをするようになったと回答し、そのうちの57%はこの傾向が長らく続くだろうと考えています。
大量生産・大量消費型の経済社会活動は、大量廃棄型の社会を形成し、健全な物質の循環を阻害するほか、気候変動問題、天然資源の枯渇、大規模な資源採取による生物多様性の破壊など、様々な環境問題にも密接に関係しています。資源・エネルギーや食糧需要の増大、廃棄物発生量の増加が世界全体で深刻化しており、一方通行型の経済社会活動から、持続可能な形で資源を利用する循環経済への移行を目指すことは、いまや世界の潮流といえるでしょう。
近年、これまでの3R(リデュース、リユース、リサイクル)の取り組みに加え、資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化などを通じて付加価値を生み出す経済活動であるサーキュラーエコノミー(循環経済)が注目されています。これは資源・製品の価値の最大化、資源消費の最小化、廃棄物の発生抑止などを目指すものです。循環経済への移行は企業における事業活動の持続可能性を高めるため、ポストコロナ時代における新たな競争力の源泉となる可能性を秘めており、新たなビジネスモデルの台頭が国内外ですすんでいます。
日本においては、循環型社会形成推進に関する各種制度の下、行政・経済界・国民の各主体の協同により、3Rと循環経済の実績を積み上げているところです。また、今年1月、環境省と経団連は、循環経済の取り組みの加速化に向け、官民連携による循環経済パートナーシップの立ち上げに合意し、3月には発足しています。同じく3月、環境省は世界経済フォーラムとともに循環経済ラウンドテーブル会合を開催し、日本企業の循環経済に関する技術や取り組みを世界に発信しました。今後も、循環経済の取り組みの加速化とともに、企業が自社のビジネス戦略として資源循環に取り組むことの加速化、必要な法制度の整備をすすめ、日本の先進的な技術やソリューションを国内外に発信していくことで、企業の中長期的な競争力の強化を図っていくことが必要です。循環経済を競争力の源泉とし、限りある資源の効率的な利用によって、世界で約500兆円の経済効果があるといわれている成長市場の獲得を目指していかなければなりません。
現在、廃棄物処理施設が老朽化するなど、多くの地域で施設更新を含む廃棄物処理システムの見直しが必要となっています。将来にわたって廃棄物の持続可能な適正処理を確保するためには、地域において安定的かつ効率的な廃棄物処理体制の構築をすすめていくことが求められています。不動産賃貸業を営んでいる弊社にもいつか、地域に新たな価値を創出する廃棄物処理システムの構築に関与できる場面がやってくるかもしれません。