本日もアイボンドブログをご覧いただきまして誠に有り難うございます。
都内のある環境コンサルティング会社が、コロナ禍で人々の考えや価値観に、どのような変化が生じているのかを明らかにするための調査をおこない、先月初旬、その結果を公表しています。働き方と経済の仕組みについて、「新たなあり方に変わる方が望ましい」と考える人が、「コロナ禍以前に戻る方が望ましい」と考える人を上回るなど、新たな社会を求める声が一定数あることがわかりました。この調査は8月中旬、550人程度を対象にインターネットで実施したものです。対象年齢を20歳以上とし、年代、性別、都市・地方の割合は人口比に合わせてあります。
新型コロナウイルスの感染拡大が収束した後の暮らし方、働き方、経済の仕組みについて、「新たなあり方に変わる方が望ましい」と思うか、それとも「コロナ禍以前に戻る方が望ましい」と思うかを尋ねました。その結果、働き方については、「新たなあり方に変わる方が望ましい」と回答した人が47.2%となり、「コロナ禍以前に戻る方が望ましい」と回答した33.5%を13.7ポイント上回っています。経済の仕組みについても前者の回答が43.1%で、後者の回答38.6%を4.5ポイント上回りました。
また、「低賃金の仕事の労働条件が改善されることが望ましい」と回答した人は81.6%に上り、コロナ禍で格差問題が浮き彫りになったことが影響していると推測されます。その他、「気候変動への関心をもつ人」や「地方で暮らす人」の増加、「在宅勤務がおこないやすくなること」についても、いずれも6割以上が望ましいと回答しました。これまで通りではない社会を人々が求めていることが読み取れます。
更に、コロナ禍で生活に生じた具体的な変化についても複数回答で尋ねました。その結果、最も多かったのは、「将来のことを考える時間が増えた」で、25.8%です。以下、「近所のお店で買い物をするようになった」24.9%、「読書時間が増えた」15.9%と続いています。考えることに時間を使うようになった人が増えているようです。
現在、コロナ禍の収束がいつごろになるのか、そもそも果たして根治的な収束が起こり得るのかについて、さまざまな議論が交わされています。いずれの議論においても前提になっているのが、世界はもう元の通りにはならない、ということです。その変化がよいものであれ、悪いものであれ、人々は不可逆な変化の最中にあります。この変化をどのようにして乗り切っていくのか、これから長い時間をかけて議論しなければなりません。いたずらに短期的な対応策を積み重ね、その結果として回復されるものが、過去の劣化コピーでは困ります。現在、様々な分野の人々により、どのようにして日常性を回復していくのか、という論点で議論がなされていますが、そもそも過去の完全な回復を望んでいるのかどかも、はっきりわかりません。
コロナ禍以前の世界が非の打ち所のない素晴らしいものだったと思っている人は、おそらく誰もいないしょう。そうであるならば、この事態をひとつのきっかけとして捉えたとき、これからの社会を、どのように、これまでとは異なるものとして構想していくのかが重要な課題です。微力ではありますが、弊社でもその問いに対し、不動産関連の分野でお役に立てればと思っています。