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総務省統計局が今月20日に公表した『人口推計―2022年(令和4年)1月報―』によりますと、今月1日現在の総人口(概算値)は前年同月比63万人減少の1億2544万人となりました。これを年齢階層別にみると、15歳未満1472万人、15歳以上65歳未満7449万人、65歳以上3622万人となっています。総人口に占める割合はそれぞれ11.7%、59.4%、28.9%です。また、65歳以上のうち75歳以上、85歳以上は、それぞれ1879万人、643万人で、総人口に占める割合は15.0%、5.1%となっています。
高齢化によって増加が予想されるもののひとつとして、介護をあげることができます。厚生労働省の推計では、65歳以上の高齢者が3900万人を超える2040年度に介護職は280万人必要ですが、2019年度時点で、まだ211万人しかいません。20年程度で69万人増加させることができなければ、介護が必要な高齢者にサービスが行き届かず、親の介護と仕事を両立できず、離職を迫られる現役世代が急増しかねません。海外にも介護の担い手を求めるとしても、多くを期待するのは危ういでしょう。欧米に限らず、中国、韓国、タイなど多くの国でも少子化が加速しており、労働力の国際争奪戦は、今後20年で一段と激しくなるのは確実です。
この苦境を打開するには、介護職の魅力を高める処遇改善が欠かせません。新型コロナウイルスの影響がなかった2019年における介護職の平均賃金は、月収換算で28万8000円でした。産業界平均の37万3000円に対し、4分の3程度にとどまっています。昨年の経済対策に盛った月9000円程度の賃上げでは不十分であり、少なくとも産業界平均まで引き上げる必要があるでしょう。
そして、この問題の難しさは、賃上げが国民負担の増加につながる点にあります。介護サービスの対価として事業者が受け取る介護報酬は、40歳以上の国民が納める介護保険料が主な財源です。賃上げの原資を得るために介護報酬を引き上げると、保険料の引き上げを通じて国民の手取り収入が減少しかねません。そうなると、会社員の保険料の半額を支払う企業の負担も増え、従業員の賃上げには慎重になるでしょう。賃上げに逆行する副作用が働き盛り世帯に広がり、消費の下押し要因になる可能性が十分にあり得ます。
経済対策として不都合なこの事態を避けるためには、介護サービスの生産性を高めることで賃上げの原資を可能な限り捻出し、介護報酬の引き上げ幅を極力抑えるしかありません。介護ロボットの活用、事業者の再編・統合による経営効率化、医療との連携強化など、深掘りすべき施策はまだあるはずです。
昨年、岸田政権がまとめた経済対策には、介護、看護、保育、幼児教育の現場で働く人たちの収入を3%程度引き上げる方針が明記されました。岸田首相が重視する分配戦略の先導役と位置づけられる施策ではあるものの、前述のように、これらの業界の賃上げは、政府が目指している分厚い中間層の復活どころか、多くの国民の手取り収入を減らしてしまうリスクをはらんでいます。そういったリスクに備えるべく、国民の自助努力による資産形成は必須でしょう。微力ながら、弊社でもそのお手伝いができるよう、i-Bondをはじめとする商品・サービスの提供に努めているところです。