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立春(今年は2月4日)を過ぎ、暦の上では春となっておりますが、寒さはまだ続きます。皆様も体調管理には十分ご留意のうえ、お過ごし下さい。
ちょうど30年前になりますが、欧州連合(EU)の創設を定めたマーストリヒト条約が、欧州共同体(EC)12ヶ国によって調印されました。翌年11月1日に発効しています。条約名は調印がなされたオランダの地名にちなんだものです。欧州圏への参加要件として、物価、財政、為替レート、長期金利についての基準が定められました。例えば、財政赤字が対GDP比で3%を超えない、債務残高が対GDP比で60%を超えない、となっています。また、財政規律遵守のための手続きが定められるとともに、1997年には、それらの諸手続を具体化するべく、2つの規則と欧州理事会決議からなる安定成長協定が定められ、欧州圏における財政政策協調のための基本的な枠組みが成立しました。
EU非加盟国スイスの金融大手UBSウェルス・マネジメントが算出する国際不動産バブル指数によりますと、欧州や北米を中心に住宅価格が高騰しています。日本でも中国など海外勢による投資が再開しはじめました。足元で各国が金融緩和の縮小に舵を切るなか、バブルが崩れるリスクはないのでしょうか。
昨年、同社は世界の主要25都市を対象として、住宅価格に対する平均年収や賃料、GDPに対する住宅ローン額や建設額の比率などを算出し、それらを総合して指数化しました。住宅価格の水準だけではなく、その都市の実体経済との乖離の度合いも測定できます。最もバブルのリスクが高いと判断された都市は、ドイツのフランクフルトでした。指数は2.16と、バブルの目安である1.5を大きく上回っています。新築分譲マンションの価格が昨年6月時点で1平方メートルあたり8771ユーロになり、前年同期から13%上昇しました。背景にあるのは国内外からの人口流入です。フランクフルトは欧州有数の金融センターで、2016年の英国のEU離脱決定を受け、大手金融機関などの機能移転がすすみ、高所得者の受け入れを見越して高級住宅の建設が加速しました。国内周辺地域からの若者世代の流入もすすんでいます。一方、住宅供給は追いついていません。新型コロナウイルス感染拡大の影響で建設作業がストップし、一昨年の新築分譲マンション契約件数は769件と、前年比で3割近く減少しました。特に中所得層向けの住宅不足が顕著です。
第2位はカナダのトロントになっています。昨年3月に住宅販売数が急伸し、トロントの平均価格は過去最高の100万カナダドルを突破しました。ある大手格付け会社は、トロントの住宅価格は所得水準などと比較して32%過大評価されていると指摘しています。高騰の主因は、海外からの投機的な取り引き増加のようです。政府は昨年8月、今年から海外投資家による住宅購入に対して課税を強化する方針を示しました。足元で住宅販売は落ち着きを取り戻していますが、20代後半から30代前半のミレニアル世代によるトロント郊外への移住意欲は強く、当面は需要過多の状況が続く見通しです。
日本では、2008年のリーマン・ショック時と比べ、不動産向け融資が厳格化されているうえ、家計の貯蓄も潤沢にあるので、当時のような崩壊は起こらないとの声も聞こえてきます。とはいえ、情勢を見極めながら、適切な判断を場面に応じておこなっていかなければなりません。弊社は2度にわたるバブル崩壊を乗り越え、昨年、設立35周年を迎えました。これからも不動産の目利き力に磨きをかけて参ります。